最高落札額は奈良美智の1億1500万円。実験的な2024年最初のSBIアートオークションを振り返る

SBIアートオークションは1月27日と28日に代官山ヒルサイドフォーラムにて「Modern And Contemporary Art」セールを開催した。2日間にわたるセールの主要な落札結果をまとめてレポートする。

文・写真=塚田萌菜美

下見会の展示風景より

 SBIアートオークションは1月27日と28日に代官山ヒルサイドフォーラムにて「Modern And Contemporary Art」セールを2日間連続で開催した。開催スケジュールが一変した、実験的な2024年最初のオークション結果をレポートする。

 オークション初日は海外コンテンポラリー作品からスタートした。冒頭から高額を叩き出したのはアンディ・ウォーホルとキース・ヘリングの版画である。

オークション風景より、キース・ヘリング《Best Buddies (Littmann P.185)》(1990)の落札の様子

 どちらも円安の影響を受け、日本円では高額に見えるが、ドル換算すると海外相場同等レベルにて落札されている。ウォーホルのミック・ジャガーを描写した《Mick Jagger (F. & S. Ⅱ.147)》がアジア圏からの入札が集中し1600万円で落札されたいっぽう、キース・ヘリングの《Best Buddies (Littmann P.185)》にはアメリカや英語圏からの入札が目立つという傾向の差が見られたところが興味深い。

下見会の展示風景より、左がベルナール・ビュッフェ《洋梨のある静物》(1966)

 今回のセールでは、近代作品を特集したセクションも設けられた。過去にSBIにて出品履歴のあるルノワールの1895年のキャンバス作品は残念ながら不落札となったが、ベルナール・ビュッフェの静物画はエスティメイト500〜800万円のところ、1150万円で落札されている。

下見会の展示風景より、倉俣史朗《How High the Moon》(1986)

 そうした海外の巨匠による作品も展示された下見会場の中で、一番の存在感を放っていたのが、倉俣史朗による《How High the Moon》のオリジナル版である。世田谷美術館での個展が話題を呼んだが、なかでも代表作と言える1脚である。エスティメイトの設定は80〜140万円だが、書面やオンラインを押さえて電話入札者が420万円にて落札している。

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