SCAI THE BATHHOUSE

　SCAI THE BATHHOUSEは、現代美術に特化したギャラリースペースとして、都内でも古い街並みを残す台東区谷中に創設。美術館や東京藝術大学が密集する上野からほど近く、下町文化の歩んだ時間と空間を大切にしながら、最先端のアート作品を伝える場として親しまれてきた。200年の歴史を持つ由緒ある銭湯「柏湯」を改装したギャラリー空間は、一歩入るとモルタルの床に白い壁面のニュートラルなホワイトキューブが広がり、高い天井からやわらかな自然光が差し込む。

　1993年の創設以来、数々の展覧会やコミッションプロジェクト、パブリックアートを実現。もの派の筆頭として現代美術創世記を導いた李禹煥（リ・ウーファン）、強い物語性を持つ大型彫刻で国際的な注目を集める遠藤利克や森万里子など、第一線で活躍する多くのアーティストの評価を固めると同時に、新素材を用いる彫刻家、名和晃平や土屋信子などの次世代作家を世界に向けて発信している。

　いっぽうで、日本の伝統や文化に触発された新しい作品を発表するアニッシュ・カプーアや、アピチャッポン・ウィーラセタクン、何翔宇（へ・シャンユ）など、海外の優れた作家を積極的に紹介。また、宮島達男やルイーズ・ブルジョワによるパブリックアートなど、時代とともに進化するアートの最前線を公共空間に提供し、街の景観を変えることで、現代美術を受け止める新たな支持層を生み出してきた。

　SCAI THE BATHHOUSEは、国内外における現代美術の潮流をつなぐ結び目として機能し、アートシーンにおいて主導的な役割を果たすことをつねに心がける。こうした理念のもと、近年は若手作家の実験スペース「駒込倉庫」や作品保存の現場を展示空間へ拡張した「SCAI PARK」を開設するなど、新たなビジョンを次々と展開している。