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川口市立美術館が開館。蜷川実花の「はじまり」をたどる特別展で幕開け【5/8ページ】

自分を保つためのセルフポートレイト

 モノクロームのセルフポートレイトシリーズ「Self-image」も圧巻だ。蜷川が大学在学時に写真家としてデビューした際に発表したのもセルフポートレイトだった。それ以来、約30年にわたり断続的に撮影を続けてきたが、これほどまとまったかたちで展示されるのは今回が初めてとなる。

「Self-image」シリーズ 撮影:来田猛

 映画や大規模インスタレーションなど、大勢のスタッフとともに巨大なプロジェクトを進めるときほど、蜷川はひとりで完結できるセルフポートレイトを撮りたくなるという。三脚を立て、セルフタイマーを使い、自分ひとりでつくる世界。それは、「自分を保つため」「前に進むため」「確認するため」に必要な、ある種の「シェルター」でもあるそうだ。

 鮮烈な色彩の花や人物のポートレイトなど、一般にイメージされる「蜷川実花」の作品とは大きく異なり、画面に現れるのは、ひとりの人間としてカメラの前に立つ蜷川自身だ。自分を撮ることで、自分と世界との接点を確認する。その意味では「Self-image」は特殊なシリーズであると同時に、蜷川の写真表現全体を考えるうえでも重要な作品群と言えるだろう。

編集部