蜷川実花の勢いは2025年も続きそうだ。関西で過去最大の⼤規模個展「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」が、京都市京セラ美術館の東山キューブで始まった。会期は3月30日。共同キュレーターは高橋信也(京都市京セラ美術館 事業企画推進室 ゼネラルマネージャー)、宮田裕章(EiM エグゼクティブディレクター/データサイエンティスト)。
蜷川実花は1972年東京生まれ。多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業。美大在学中のセルフポートレイトから出発し、被写体が見せる一瞬を、極彩色の色彩で鋭敏に撮影。ファッション、音楽、広告など様々なジャンルともクロスオーバーした活動を展開してきた。映画監督としても『さくらん』、(2007)『ヘルタースケルター』(2012)などを手がけ、第13回キヤノン写真新世紀優秀賞以降、第9回コニカ写真奨励賞、第26回木村伊兵衛写真賞などを受賞している。
近年、「蜷川実花 瞬く光の庭」(東京都庭園美術館、2022)、「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」(TOKYO NODE GALLERY、2023〜24)、「海とつながる。アートをめぐる。―Harmony with Nature―」(葛西臨海公園、2024)、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」(2024)など、相次ぐ展覧会・芸術祭で精力的な活動を見せてきた蜷川。本展は、蜷川および各分野のスペシャリストによって構成されたクリエイティブチーム「EiM(エイム)」(*)として挑むものだ。
10作品によって構成された没入型の展覧会となる今回。蜷川と20年近い親交がある同館・青木淳館長は、「とくに2022年の東京都庭園美術館の個展あたりから、蜷川さんの表現は二次元から空間へと進化してきた。関西でこれだけ大きな展覧会は初めて。いままでと比較し、新たな第一歩となったと思う」とコメント。
また蜷川は、「京都で開催するということが本展のテーマ設定に関わっている。実際に京都の街を歩いた経験をもとに、その歴史や命のゆらめき、生と死などを作品に取り入れたかった。これは絶対にいい展覧会になると思いつくってきた」と自身を覗かせた。ではそのハイライトを見ていこう。
*──蜷川とデータサイエンティストの宮⽥裕章、セットデザイナーのENZO、クリエイティブディレクターの桑名功、照明監督の上野甲子朗らで結成されたクリエイティブチームで、プロジェクトごとに多様なチームを編成しながら活動している。