過去の家族と「出会い直す」──「First Light」
続いて注目したいのが、本展で初公開される新シリーズ「First Light」だ。素材となったのは、実家で見つけた父・幸雄と母・宏子の古いアルバム写真。70年ほど前の小さな写真を、蜷川がマクロレンズでもう一度撮影した。そこにあるのは、たんなる複写とは異なる時間の層だ。

「自分の知らない時代の父と母に出会い直すような感覚があった」と蜷川は語る。例えば新婚旅行の写真には、父が撮った母、母が撮った父の姿が残る。そこには、父が母をどのように見ていたのか、母が父をどのように見ていたのかという、撮影者の眼差しまでもが写り込んでいる。
そして数十年後、それを娘である蜷川が再び撮る。蜷川はこの行為を、「本来見ることのできない、時空を越えた出会いをし直すこと」と表現する。同じ写真であっても、撮影する日によって見え方は変わった。蜷川自身の感情がそこに重なることで、ひとつの古い家族写真がまったく異なる像として立ち現れる。
当初から作品化を意図して始めたものではなかったというが、結果として「First Light」は本展の核心を担うシリーズとなった。



















