2026年版:この秋ソウルで見るべき展覧会ベスト17

現代アートで盛り上がりを見せる韓国・ソウル。この秋チェックすべき展覧会をまとめてお届けする。

Yang Ah Ham《Undefined Panorama 4.0》(2026)Photo by Seowon Nam Courtesy of Art Sonje Center

ソウル北部:三清洞(サムチョンドン)エリア

「ソ・ドホ」(国立現代美術館ソウル館)

 国立現代美術館ソウル館では、韓国を代表する現代美術家ソ・ドホの大規模個展が開催されている。初期作品から代表作、現在進行中のプロジェクトまで、約30年にわたる活動をドローイング、彫刻、映像、インスタレーションなど約500点によってたどる、過去最大規模の展覧会だ。

 ソ・ドホは1962年ソウル生まれ。韓国からアメリカ、ヨーロッパへと移り住んだ自身の経験を起点に、「家」や移住、記憶とアイデンティティ、個人と共同体の関係を探究してきた。なかでも、かつて暮らした住宅や建築空間を半透明の布で実寸大に再現する作品で広く知られる。本展では、そうした代表作のみならず、学生時代のドローイングや資料などを集めた「Seed Bank」から、その後の創作がいかに展開していったのかを見せる。

 会場には、かつてソウル・城北洞で暮らした韓屋の門を再現した《Small Gate》(2017)や、建築表面を紙と擦り出しによって写し取る「Rubbing/Loving」シリーズ、ロンドン、ニューヨーク、ベルリン、プロビデンス、ソウルなど、各地で暮らした家の記憶を重ね合わせた「Perfect Home」が登場。さらに、半透明のポリエステル布による全長約21メートルの《Nest/s》(2024)などを通して、「家」を固定した場所ではなく、時間や人間関係とともに変化するものとしてとらえる作家の思考に迫る。

会期:2026年8月27日〜2027年2月9日 
会場:国立現代美術館ソウル館 
住所:30 Samcheong-ro, Jongno-gu, Seoul 
電話番号:+82 2-3701-9500 
開館時間:10:00〜18:00(水土〜21:00) 
休館日:要確認 
料金:一般8000ウォン

「Yang Ah Ham: Undefined Panorama」(アートソンジェセンター)

Yang Ah Ham《Undefined Panorama 4.0》(2026)Photo by Seowon Nam Courtesy of Art Sonje Center

 アートソンジェセンターでは、韓国のアーティスト、ハム・ヤンア(1968〜)の個展「Undefined Panorama」が開催されている。会期は7月31日〜10月4日。2018年から継続する長期リサーチプロジェクト「Undefined Panorama」に焦点を当て、新作《Undefined Panorama 4.0》(2026)をはじめ、これまでの作品とアーカイヴ資料を全3フロアにわたって紹介する。

 1990年代半ばから、社会構造と個人の関係を映像やインスタレーションなどによって考察してきたハム。「Undefined Panorama」では、デジタル革命や気候危機、パンデミックをめぐるシステムの機能不全など、現代社会に生じる複数の危機をひとつの固定された物語に回収することなく並置する。2019年に制作され、本展にあわせてリマスターされた映像《Undefined Panorama 2.0》(2019)などと新作を接続しながら、世界を理解するための「パノラマ」そのものを問い直す。

会期:2026年7月31日〜10月4日 
会場:アートソンジェセンター 
住所:87 Yulgok-ro 3-gil, Jongno-gu, Seoul 
電話番号:+82 2-733-8949 
開館時間:12:00〜18:00 
休館日:月 
料金:一般10000ウォン

パク・ソボ「Changing Unchanging」(Kukje Gallery)

Installation view of Park Seo-Bo's solo exhibition Changing Unchanging at Kukje Gallery Hanok Photo: Chunho An Image provided by Kukje Gallery

 Kukje Galleryでは、韓国の単色画(ダンセッファ)を代表するパク・ソボ(1931〜2023)の大規模回顧展「Changing Unchanging」が10月18日まで開催されている。作家の没後3年にあわせた本展では、K1、K3、韓屋の3つのスペースを使い、約40点によってその制作の変遷をたどる。

 タイトルは、生前のパクが繰り返し語った「変わらない者は滅びる。しかし、変わり方を誤った者もまた滅びる」という趣旨の言葉に由来する。反復的な身体行為によって画面を形成する「描法(Écriture)」を軸としながら、素材や色彩、支持体を変化させ続けた作家の実践を、「変化」と「持続」という2つの視点から読み直す構成となる。

会期:2026年8月24日〜10月18日 
会場:Kukje Gallery 
住所:54 Samcheong-ro, Jongno-gu, Seoul 
電話番号:+82 2-735-8449 
開館時間:10:00〜18:00(日・祝〜17:00) 
休館日:無休 
料金:無料

クリスティーン・サン・キム「Moon Mind」Gallery Hyundai

クリスティーン・サン・キム《Moon Mind》(2026)

 Gallery Hyundaiでは、ベルリンを拠点に活動するアメリカ人アーティスト、クリスティーン・サン・キム(1980〜)の個展「Moon Mind」が開催される。韓国で初となるギャラリー個展であり、Gallery Hyundaiでは初の個展。会期は8月26日〜10月18日。約30点の新作絵画とドローイングが発表される。

 聴覚障害を持つキムは、音を聴覚だけに属するものとしてではなく、言語や権力、アクセス、社会関係と結びついた構造としてとらえ、手話や音楽記号、図表などを転用した視覚言語を構築してきた。本展ではそうした関心を、心や記憶、家族、他者との関係、ルーツへと展開。これまでのドローイングからさらに踏み込み、作家にとって初となるシェイプド・キャンバスによる絵画を発表する。

会期:2026年8月26日〜10月18日 
会場:Gallery Hyundai 
住所:14 Samcheong-ro, Jongno-gu, Seoul 
電話番号:+82 2-2287-3577 
開館時間:10:00〜18:00 
休館日:月 
料金:無料

「2026 Korean Modern Masters 《Yoo Youngkuk: A Mountain Within Me》」(ソウル市立美術館

ユ・ヨングク《작품(Work)》(1964) cYoo Youngkuk Art Foundation

 ソウル市立美術館では、韓国抽象美術の先駆者ユ・ヨングク(1916〜2002)の生誕110年を記念した大規模回顧展「A Mountain Within Me」が開催されている。新たにスタートしたシリーズ「Korean Modern Masters」の第1弾で、未公開作品を含む絵画、レリーフ、写真、ドローイング、資料など170点以上を展示。1930年代から晩年まで、約60年に及ぶ活動をたどる。会期は5月19日〜10月25日。

 1935年に東京で抽象表現の実験を始めたユは、日本統治期、朝鮮戦争、急速な経済成長といった20世紀韓国の激動を経験しながら、一貫して抽象に取り組んだ。とりわけ山を主要なモチーフとし、鮮烈な原色と幾何学的な構成によって自然を内面的な風景へと変換したことで知られる。本展ではその造形言語の変化とともに、韓国近代美術における抽象の展開を検証する。

会期:2026年5月19日〜10月25日 
会場:ソウル市立美術館 西小門本館 
住所:61 Deoksugung-gil, Jung-gu, Seoul 
電話番号:+82 2-2124-8868 
開館時間:10:00〜20:00(金〜21:00、土日祝〜19:00) 
休館日:月 
料金:無料