色彩をいったん手放し、「写真を写真として見せる」
展示は大きく2つの章で構成される。第1章では6つのテーマ、計194点の写真作品が並ぶ。
ここでまず重要なのは、蜷川が本展を「写真を写真として見せる」展覧会と位置づけていることだ。
近年の蜷川は、写真集や巨大なインスタレーションなど、複数の写真を集合体として見せる手法を数多く用いてきた。対して今回は、「ここに来て、あえて写真を写真としてしっかり見せることに挑戦したかった」という。展示方法も過度に演出せず、写真そのものと向き合うことを選択した。その姿勢は、会場全体の色調にも表れている。
鮮烈な色彩は、言うまでもなく蜷川作品を象徴する要素だ。しかし蜷川自身、色彩の印象があまりに強いために、「その奥にあるものまで見てもらえていないのではないか」という思いを長年抱えてきたという。そこで本展では、自らの強みのひとつである色彩への意識をいったん手放した。「色彩に一切フォーカスせず、いいと思えるクリエーションだけに特化した結果」が、今回の展示だという。
その言葉通り、会場にはモノクロームの作品が目立つ。そこで前面に出てくるのは、いわゆる「蜷川実花的」な色彩ではなく、写真に刻まれた感情や時間そのものだ。




















