原摩利彦がリードアーティストに
ラボでの制作を牽引するリードアーティストには、京都を拠点に活動する音楽家・原摩利彦が就任する。原は映画『国宝』の音楽と主題歌を手がけ、第49回日本アカデミー賞で最優秀音楽賞と主題歌賞を受賞。坂本との即興演奏や共作の経験も持つ。

原が音楽家を志したきっかけは、中学1年生のときに大阪で見た坂本の公演だったという。そこから30年となる節目にプロジェクトへ参加することについて、「とても不思議な縁を感じている」と話す。
ラボでは、国内外のアーティストを招いた共同制作などを構想している。完成作品を発表するだけでなく、アーティストが数時間にわたって試行錯誤し、音楽が生まれる瞬間そのものを学生と共有することも目指すという。
「僕は、こういうふうにつくったらいいと教える立場ではまったくない。坂本さんが遺した機材や作品を見ながら、坂本さんが世界に対して何を考え、音楽をつくっていたのかを学生たちと一緒に考えたい。いま世界で起きていることを見たうえで、音楽やアートをつくることがどんな意味や力、可能性を持つのかを考える場にしたいと思っている」。
なおスタジオの着工は、開学50周年を迎える2027年春頃を予定。ただし施設の完成を待たず、原を中心とした共同制作や学生参加型のワークショップなどを先行して始める。28年にはスタジオの運用を開始し、アーカイブやライブラリーも順次展開する計画だ。
坂本が遺したものを固定された遺産として保存するのではなく、実際に触れ、使い、問い直すことで、次の創造を生み出す。「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」は、坂本の創造の精神を過去に閉じ込めるのではなく、未来へと開き続けるための実験の場となりそうだ。



















