目黒川4キロが巨大な「楽器」に。「Meguro River Night Ambience」で國本怜のサウンドインスタレーション《KAZE — body》が夜の川をめぐる

夜の目黒川を舞台にしたアートプロジェクト「Meguro River Night Ambience」が9月4日から22日まで開催される。中心となるのは、アーティスト・國本怜によるサウンドインスタレーション《KAZE — body》。風によって音を発する「音の彫刻」を船に載せ、天王洲からホテル雅叙園東京前までの目黒川を往来する。

 東京の目黒川を舞台に、都市と自然を「聴く」アートプロジェクト「Meguro River Night Ambience(メグロ・リバー・ナイト・アンビエンス)」が開催される。会期は9月4日〜22日。一般社団法人Tokyo Sea Tripが主催し、株式会社epigramが共催・企画・プロデュースを担う。

中心となるサウンドインスタレーション《KAZE — body》

 プロジェクトの中心となるのは、アーティスト・國本怜によるサウンドインスタレーション《KAZE — body》だ。重力や風、水の流れといった外界のエネルギーと空間を結びつけ、エンジニアリングや彫刻、空間設計を横断した作品を手がけてきた國本。本作では、目に見えない風のエネルギーを、揺れながら互いに触れ合う金属板によって「音」へと変換する。

 1991年生まれの國本は、日本の美意識を手がかりにしながら、自然現象や空間と人間の知覚との関係を探究してきた。日本のほか、アラブ首長国連邦、台湾、アメリカなどでサウンドインスタレーションやライブパフォーマンスを発表している。

國本怜

 無数の金属板によってかたちづくられた《KAZE — body》は、船の上に横たえられ、天王洲からホテル雅叙園東京前までの約4キロにわたる目黒川を往来。外界とのエネルギーのやりとりによって成立する人間の身体と、人や物、情報が絶えず行き交う都市とを重ね合わせ、普段は目に見えない都市の流れを視覚と聴覚によって浮かび上がらせる試みだ。

 《KAZE — body》の運航は9月4日〜6日と18日〜22日の18時〜21時。鑑賞ポイントとして目黒川沿いの遊歩道や五反田ふれあい水辺広場などが設定されており、観客は川辺を歩きながら、作品がやって来るのを待ち、耳を澄ますことになるだろう。

 また五反田ふれあい水辺広場では、街灯に設置されたスピーカーから《KAZE — body》と連動した音を展開。船上の作品だけではなく、その移動時間を含めた目黒川沿いの空間そのものをひとつのサウンドインスタレーションとして体験できる。初日の9月4日には、國本とKaori Yamaneによる《KAZE — body》の制作ドキュメンタリーも護岸にプロジェクションされる。

 また9月12日には、東品川海上公園を舞台とした1日限定のライブパフォーマンスを実施する。公園側では15時からDJとフードトラックがスタートし、17時からは水上の屋形船を特設ステージにライブを展開。國本のほか、Tatsuro Murakami & Shin Araki、Shöka feat. Kei Matsumaruが出演し、DJにはDJ Emeraldとgrrrdenが名を連ねる。入場は無料となる。

 船上の「音の彫刻」、川辺のスピーカー、護岸への映像投影、そして水辺でのライブ。本プロジェクトが試みるのは、ひとつの作品を特定の場所で鑑賞するという形式ではなく、約4キロに及ぶ目黒川と、その周囲を歩く行為そのものを作品体験へと変えていくことだ。日常的な都市インフラである川を巨大な「楽器」に見立て、夜の東京に流れる風や水、人の気配をあらためて感じる機会となりそうだ。