坂本龍一の創造の精神を次世代へ。京都芸術大学の「Sakamoto Ryuichi Lab at KUA」構想に青木淳、原摩利彦ら参加【2/4ページ】

坂本龍一と京都芸術大学の長い交流

 プロジェクトは、坂本龍一エステートが、坂本の機材や楽器を次世代の学びと創造に活用できないかと、長年交流のあった京都芸術大学に相談したことから動き始めた。

 坂本と同大の関係は長い。京都芸術大学が運営する劇場「春秋座」 では、2005年に高谷史郎とのライブを上演。10年には「スコラ 坂本龍一 音楽の学校」の夏季特別講座が公開収録された。同年に始まった「マラルメ・プロジェクト」では、渡邊守章が構成・演出、高谷が映像・美術、坂本が音楽・音響を担当し、約3年にわたって舞台作品の創作が重ねられた。坂本の没後となる23年には、追悼シンポジウム「坂本龍一の京都」も開催されている。

 坂本龍一エステートは本プロジェクト発表に寄せたコメントで、坂本が音楽だけでなく、美術、哲学、文学、科学、テクノロジー、環境、社会などに好奇心を持ち、学び、実験と実践を続けた人物だったと振り返りつつ、作品や資料、思想、問いを保存するだけではなく、教育や研究の現場で次世代が読み直し、新たな表現へつなげることが重要だと表明。ラボが、学生や研究者、アーティストたちによる新しい問いと表現が生まれる場となることへの期待を示した。

 同大の德山豊理事長も、「私たちが受け継ぎたいのは、完成された作品だけではない」と強調する。「領域にとらわれず、異分野の人々と対話し、学び、実験を重ね、問い続ける、その姿勢です。その姿勢は、大学という場だからこそ、次世代の創造へとつながっていく」。