喪失の風景としてモネを読む
そうした対話のなかでとりわけ印象的なのが、《セーヌ河の日没、冬》(1880)とフェリックス・ゴンザレス=トレス《「無題」(マルセル・ブリアンの肖像)》(1992)の並置だ。
モネは1879年、最愛の妻カミーユを亡くした。《セーヌ河の日没、冬》(1880)は、その翌年に描かれた作品である。凍てつく川面に浮かぶ氷塊と沈みゆく夕日が描かれた静かな風景は、しばしば喪失の経験と結びつけて語られてきた。
この作品に呼応するように展示されるのが、ゴンザレス=トレスの《「無題」(マルセル・ブリアンの肖像)》(1992)だ。


青いセロファンに包まれた無数のキャンディは、観客が持ち帰ることで徐々に減少していく。作品は固定されたオブジェではなく、変化し続ける存在として提示される。恋人ロスや家族との死別を経験したゴンザレス=トレスの作品と並置することで、モネの風景画は単なる自然描写ではなく、喪失や記憶という主題を含んだ作品として新たな側面を見せる。
19世紀絵画と20世紀後半のコンセプチュアル・アートという異なる時代、異なるメディアによる作品が、「不在」と「時間」というテーマによって接続されている。



















