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18組の現代アーティストを通して見る新しいモネの姿。「あたらしい目 ― モネと21世紀のアート」展(ポーラ美術館)開幕レポート【4/6ページ】

ジヴェルニーの庭を再考する

「描くための装置」としてのジヴェルニーの庭という視点をさらに拡張するのが、アローラ&カルサディーラによる《半影(箱根)》(2026)と《接ぎ木》(2021)だ。

床に見えるのが《接ぎ木》(2021)。左奥には《半影(箱根)》(2026)が見える

 窓のない展示室に木漏れ日を人工的に再現した《半影(箱根)》では、1940年代にドイツ占領下のフランス本土から亡命する作家が立ち寄った、カリブ海に浮かぶ仏領マルティニーク島の影が再現されており、「ここではないどこか」の風景を展示空間へと持ち込む。また床一面に広がる5万個もの手彩色された花びらの作品《接ぎ木》は、植民地主義や気候変動によって大きく変化したカリブ海の生態系、そしてそれによって土地から切り離された人々や植物の姿を重ね合わせる。

 モネが外部から持ち込んだ植物や水路によってジヴェルニーの庭を構築したように、アローラ&カルサディーラもまた複数の土地の記憶や生態系を重ね合わせることで、新たな風景を立ち上げている。

 同じ展示室にあるピエール・ユイグの《異系知性(淵)》(2017)は、《睡蓮》を現代的な視点から読み替える試みとして位置づけられている。

床に置かれた彫刻がピエール・ユイグの《異系知性(淵)》(2017)

 ユイグはこれまで、ジヴェルニーの睡蓮の池を水槽へと移植した《Nymphéas Transplant》(2014)などを通じて、モネの庭をひとつの生態系として注目してきた。

 本展で紹介される《異系知性(淵)》は、ロダンの弟子であった戸張孤雁による彫刻《淵》(1924)に由来する女性像の頭部がミツバチの巣によって覆われている。知性や意識の象徴ともいえる頭部を、人間以外の生物が占有するこの作品は、鑑賞者の視線を水面の下へと向けさせる。その下に広がる、目には見えない世界を私たちに想像させようとしている。

編集部

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