クロード・モネの「連作」はなぜ生まれたのか?

印象派を代表する画家のひとりであるクロード・モネは、ルーアン大聖堂や積みわらなど、特定の画題を異なる季節や時間で複数枚を描く「連作」を手がけている。この連作は、いかに生み出されたのだろうか?

文=verde

クロード・モネ 積みわら、雪の効果 1891 キャンバスに油彩 65.0×92.0cm スコットランド・ナショナル・ギャラリー© National Galleries of Scotland. Bequest of Sir Alexander Maitland 1965

 「モネはひとつの眼にすぎない。しかし何という眼なのだろう!とは、画家ポール・セザンヌの言葉である。モネは生涯にわたって、自然の光のうつろいや、それがもたらす色彩の変化をひたすら見つめ、自らがとらえた「瞬間の表情」をカンヴァスの上に描き続けた。印象派の代名詞である「筆触分割」も、もともとは、水に光がきらめく様を再現するために、彼がルノワールと共に編み出したものである。そんな彼が、画業の後半期に編み出した「連作」は、彼の究極の表現形態といっていい。

 現在、上野の森美術館では、モネの連作に焦点をあてた展覧会「モネ 連作の情景」が開催されている。今回は、展覧会に寄せ、モネが「連作」の手法を編みだし、画家として成長していく過程を追ってみたい。

連作前夜。「クルーズ渓谷」へ

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