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特別展「線表現の可能性」と「コレクション1 彼女の肖像」(国立国際美術館)開幕レポート。芸術における表現の幅広さ【2/4ページ】

 第4章「線と立体」では、二次元の線が三次元へと展開し、立体的な構成を形成するプロセスを紹介している。彫刻家がエスキースとして用いる線が、立体作品における構造的基盤を担い、二次元と三次元の相互作用が作品全体の意図を浮かび上がらせる様子が見て取れる。植松奎二や宮﨑豊治らの作品を通して、線が持つ立体的な広がりとその構成美を追体験することができる。

展示風景より、中央は植松奎二《置-浮くかたち》(1993)

 これら4つの章に加え、近年亡くなった作家たちの作品を展示する「2020年代の物故作家」特集展示コーナーが設けられている点は特筆すべきだ。

 このコーナーでは、2020年代に他界した国内外の重要な作家たちの作品を通じて、20世紀から21世紀へとかけての現代美術の歩みを追うことができる。クリスト、イリヤ・カバコフ、フランク・ステラなどの作品は、それぞれが独自のアプローチで現代美術に新たな価値を付与し、いまもなおその影響が色濃く残っている。また、日本の岡崎和郎や桑山忠明、三島喜美代らの作品は、独自の美的感覚とともに現代美術の多様性を体現している。

展示風景より、左からは竹﨑和征(1976〜2024)《10月の庭》(1999)、佐野ぬい(1932〜2023)《ジョージタウン・ウィークリー》(1985)
展示風景より、左からはフランク・ステラ(1936〜2024)《グレー・スクランブルXII ダブル》(1968)、野見山暁治(1920〜2023)《空》(1966)
展示風景より、左からは三島喜美代(1932〜2024)《Box CG-86》(1986)、クリスチャン・ボルタンスキー(1944〜2021)の作品2点

編集部

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