EXHIBITIONS

吉田志穂「印刷と幽霊」

2024.10.30 - 12.01

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 BUGで、吉田志穂による個展「印刷と幽霊」が開催されている。

 吉田はこれまで、アナログとデジタルを往還させる写真作品の制作、空間全体を使ったインスタレーションで独自の風景を築き上げてきた。第11回写真「1_WALL」(*)グランプリ受賞(2014)、その後、第11回shiseido art egg入選(2017)、Prix Pictet Japan Award 2017ファイナリスト、第46回木村伊兵衛写真賞(2020+2021年度)など受賞。

 本展で吉田は、これまでとはまったく異なるアプローチで新作を発表。写真の現像やプリント、イメージの重ねあわせなどを手作業で行ってきた吉田がオフセット印刷機で大量に複製したイメージを用いて空間を構成する。

 写真や印刷は、機械を通してはじめてイメージが可視化されるともいえる。時折、機械は人間が意図したイメージから外れ、肉眼でとらえることができないものも表出させることがある。吉田は不可視の存在への探究やイメージの氾濫から、実態のないものの現出に挑む。

 機械と手を組み、予期せぬエラーに身を委ねた時、イメージはどのように崩れ、何が現れるのか。日々大量のイメージを目にする人々に、見えるもの/見えないものとは何かを改めて問いかけ、その境界線を探ろうと試みる。

 *──2009〜2022年までリクルートホールディングスが運営したコンペティション