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「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子―ピュシスについて」(アーティゾン美術館)開幕レポート

アーティゾン美術館で、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子―ピュシスについて」がスタートした。会期は2025年2月9日まで。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より

 東京・京橋のアーティゾン美術館の6階で、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子―ピュシスについて」がスタートした。会期は2025年2月9日まで。担当学芸員は内海潤也(アーティゾン美術館 学芸員)。

 ジャム・セッションとは、2020年のアーティゾン美術館開館以来、石橋財団コレクションとアーティストとの共演をコンセプトに開催されている展覧会だ。第5回目となる今回は、今年の第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(〜11月24日)の日本代表に選出されたことでも記憶に新しいアーティスト・毛利悠子を迎えての開催となる。

 毛利は、インスタレーションや彫刻といった表現手法を用いて、空間が内包する流れや変化に形状を与え、鑑賞者に新たな知覚を呼び起こすことを試みるアーティストだ。展覧会タイトルにある「ピュシス」とは、古代ギリシア語で「自然」や「本性」と訳されるもの。自然における生成、変化、消滅といった運動に本性を見いだす古代ギリシアの哲学者たちの思想が、毛利の生み出す作品空間に重ねられているという。

毛利悠子

 本展は、過去作を含む7つのプロジェクトが一堂に展示されており、毛利にとって国内最大規模の展覧会となっている。ヴェネチア・ビエンナーレに選出される前から内海とともに企画を練ってきたという本展の開催について、毛利は次のようにコメントした。

 「ジャム・セッションに参加するにあたって、石橋財団のコレクション収蔵庫を拝見させていただいた。それは、美術館での鑑賞体験とは異なるもので、様々なアーティストがどのような物事を考えながら作品制作に向きあっていたのかについて垣間見ることができるような機会であった。そのうえで、自身がそこにどのようにレスポンスすることができるかについても考えた。そして、自分がいかに手仕事を通じて身の回りにあるものから自然を理解しようとしていたかについても改めて気づかされた。ぜひまずはこの展示空間を体感するところから始めてみてほしい」。

展示風景より、毛利悠子《Decomposition》(2021-)。電極に刺さったフルーツが目を引く作品だ。腐りゆくこのフルーツの水分量にあわせて発せられた信号を音や光に変換している。タイトルの意味は「構成しない」「作曲しない」であり、毛利作品の根底を示す作品であるとして、会場入口に展示されている
展示風景より、毛利悠子《Decomposition》(2021-、部分)

編集部

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