アートウィーク東京(AWT)は、東京のアートシーンの魅力を国内外に発信するイベントとして、2021年のソフトローンチ以来、年々注目が高まっている。11月7日〜11日の4日間にわたり開催される今年のAWTは、都内約50か所以上の美術館やギャラリーと連携し、各会場での展覧会とAWT独自のプログラムをつなぐ無料シャトルバス「AWT BUS」を運行する。また、会期中限定でオープンする「AWT BAR」では、アーティストがデザインしたカクテルの提供やサウンドインスタレーション、パフォーマンスなどが展開され、訪れる人々に特別な体験を提供する。
東京のアート界には豊かな文化的土壌があるいっぽうで、国内外のアートシーンでその価値や存在感が十分に認知されているとは言い難い。とくに、国際市場で評価されるアート作品の流通が乏しい点や、海外のアート界に対する積極的な発信が不足している点が課題として指摘されている。こうした背景のなかで、AWTはその解決策のひとつとして誕生した。共同創設者でディレクターの蜷川敦子氏を中心に、日本のアートの魅力を国内外に効果的に伝えるための新たな「窓口」として、東京が持つ独自の美術的価値を再評価する試みを担っている。
なぜ、AWTはいまの日本のアート界にとって必要なのか。過去3回の開催を通じ、AWTはどのような価値を提供してきたのか。また、今後、東京や日本のアートシーンをさらに向上させるために、AWTはどのような役割を果たすべきなのか。これらの問いについて、蜷川氏に話を伺った。
日本のアートシーンの存在感を高めたアートウィーク東京
──まず、これまでのアートウィーク東京を振り返って、その成果について教えていただけますか? とくに日本のアートシーンにおける影響や、国内外での認知度向上についてどのように感じていらっしゃいますか?
海外では非常に高い評価をいただいていると感じています。初年度から順調に評価を得ており、アートフェアとは異なる目的をもつイベントとしての価値が認められてきたと思います。
日本国内に関して言えば、アートウィークというイベント自体についての認知が少ない方も多いですが、昨年は約4万3000人が参加してくださり、「買える展覧会」として始めたAWT FOCUSのセールスも一定の成果を上げました。初めてアートウィークという形式が多くの方々に理解され始めたのではないかと感じています。私たちも試行錯誤のなかでつくり上げてきた部分がありましたが、現在ではギャラリーや美術館からも良い反応が多く寄せられ、今後も皆さんとともに盛り上げていければと考えています。
──参加したギャラリーや美術館からは、具体的にどのような反応があったのでしょうか?