「Art Collaboration Kyoto 2026」開幕レポート。世界63ギャラリーが京都で示す「協働」の新たなかたち【4/5ページ】

「境界の外へ」。エルネスト・ネトらが参加する「ACK Intersections」

 今年のACKでは、従来「パブリックプログラム」と呼ばれてきた企画展示が「ACK Intersections」へと名称を変更した。これはギャラリーブースの外側に広がる会場内の空間を活用し、作品を点在させるプログラムだ。今年のゲストキュレーターには、山口情報芸術センター[YCAM]のキュレーター、レオナルド・バルトロメウスが迎えられた。

 掲げられたテーマは「境界の外へ」。社会に存在する目に見えないルールや制約、同調圧力などによって、人々の自由や関係性がどのように規定されているのか。そうした境界を、アートはいかに越えることができるのかを問いかける。会場には、エルネスト・ネト、エフライン・アルメイダ、ピオトレク・コワルスキー、クリス・レムサル、金氏徹平らの作品が展開された。

 ネトは、《Ritual Dance》(2026)と《Pedra com sono(Escultura pra ver sentado)》(2025)の2作品で展示を構成。重力や張力によって絶妙な均衡を保つ2つの作品は、自然と人間、身体と空間の関係性を問い直すものとなっている。

エルネスト・ネト《Ritual Dance》(2026)、《Pedra com sono(Escultura pra ver sentado)》(2025)

 同じくブラジル出身のエフライン・アルメイダは、《Uma coisa linda》(2014)を出品した。ブラジル北東部セアラー州の民衆文化や宗教的な伝統を背景に制作を続けるアルメイダ。木彫を中心に、身体や記憶、愛情といったテーマを扱ってきた作家だ。《Uma coisa linda》は、約50羽の小さなブロンズの鳥によって構成される作品。作家が故郷で制作中、アトリエの前に現れた鳥の群れとの出会いが着想のきっかけとなっている。

エフライン・アルメイダ《Uma coisa linda》(2014)

 また、京都を拠点に活動する金氏徹平は《Texture Punk ACK ver.》(2026)を展開。これは、2025年に金氏と複数のアーティストが共同で取り組んだ同名のグループ展を起点とするものだ。今回は森千裕、CMTK、荒木優光、小松千倫ら複数の作家が参加。インスタレーションに加え、パフォーマンスやライブ・スクリーンプリントなど、様々な表現を横断するプロジェクトとして展開された。多様な作家が影響を与え合いながら、ひとつの展示空間をつくり出す。そのあり方は、ACKが掲げる「コラボレーション」という理念とも重なるものだ。

会場で作品をつくる金氏徹平
ライブ・スクリーンプリントでは手持ちの服やバッグに様々な柄をプリントできる