「Art Collaboration Kyoto 2026」開幕レポート。世界63ギャラリーが京都で示す「協働」の新たなかたち【5/5ページ】

企業との協働や若手支援も。広がるACKの役割

 ACKの「コラボレーション」は、ギャラリー同士の関係だけにとどまらない。企業や文化施設などとの協働も、フェアを特徴づける重要な要素となっている。今年のスペシャルプログラムでは、宮永愛子、迎英里子、岡﨑龍之祐らの作品が並んだ。

 宮永愛子を紹介する「What Gold Becomes」は、金という素材を通じて記憶と時間の関係を探るインスタレーションだ。

宮永愛子《what gold becomesーバスケットー》(2026)

 また、大丸松坂屋百貨店の次世代アーティスト支援プロジェクト「Ladder Project」と連携した展示では、迎英里子の《approach 2.1》(2026)が実施。同作は原油の蒸留をテーマにしたインスタレーション・パフォーマンスだ。私たちの日常生活を支える石油という資源が、どのようなプロセスを経て様々な物質へと変化していくのか。普段は目にすることのない産業の仕組みを、装置や身体を介した表現として提示することで、見えにくい社会システムや産業構造を可視化する試みとなった。

迎英里子《approach 2.1》(2026)

 いっぽう、京都髙島屋S.C.は岡﨑龍之祐の個展「THE BODY RETURNS TO」を展開。岡﨑は、布という可塑的な素材を用いて、身体や生命のあり方を探求してきた作家だ。その彫刻は、固定された完成形を持つのではなく、布が引かれ、縫われ、重ねられ、接続される過程で次々と形を変えていく。本展でも、ひとつの形態から別の形態へと連なりながら、空間のなかで増殖するような作品が展開された。

岡﨑龍之祐「THE BODY RETURNS TO」

 さらに、株式会社ジンテックの支援による新たな若手アーティスト支援プログラム「NEW STREAM」も始動。京都という土地との出会いを通じて作家の表現を広げるとともに、作品の購入や売上の一部の再投資を通じた持続可能な支援の循環を目指す取り組みだ。

NEW STREAM

 作品売買だけではなく、アーティストの制作活動や国際的なキャリア形成を支援すること。こうした取り組みもまた、ACKが目指すアートフェアのあり方を示している。

 2021年の初開催から6回目を迎えたACK。新たな運営体制のもとで開催された今回は、世界的なギャラリーの参加によって国際的な存在感を高めると同時に、歴史や文化の異なる作品同士の対話、アーティストによる実験的な表現、さらには企業や地域を巻き込んだ新たな取り組みまで、様々なかたちの「協働」が示された。アートフェアを作品売買の場としてだけでなく、新たな表現や文化的な関係性が生まれる場へと拡張していくこと。初回から続くACKの姿勢は、体勢が変わった今年も確実に見て取ることができた。

VIPプレビューではシアスター・ゲイツによるトークセッションも行われた
シアスター・ゲイツが手がけた「待合室」(VIPエリア内)