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エルネスト・ネト

Ernesto Neto

 エルネスト・ネトは1964年ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。パルケ・ラージ視覚芸術学校を卒業後、リオデジャネイロ近代美術館で美術を学び、80年代後半から作品の発表を始める。伸縮性と透過性のある薄い布地や香辛料などの自然の素材を用いた有機的なオブジェやインスタレーション作品で知られ、2001年には第49回ヴェネチア・ビエンナーレのブラジル館代表に選ばれた。
50年代から60年代にブラジルで興った「新具体主義運動」を継承するネトは、作品と鑑賞者との双方向の関係性を重視。視覚だけでなく触覚や嗅覚などの知覚を誘発し、身体そのものやそれを取り囲む空間に対する意識を強く喚起させる。スウェーデンでの大規模な個展「マルメ・エクスペリエンス」(マルメ美術館、2006)では、薄い布でつくられた有機的な作品群の内部へと入り、鑑賞者が胎内を回遊するようなインスタレーション作品を発表。また、パリのパンテオンを会場とした個展では、天井から布でつくられた巨大な白色の滴を無数に垂らした《L é viathon Thot》(2006)を制作し、荘厳な神殿を有機的な空間へと変容させた。

 主な展覧会に「La Lengua de Ernesto: Retrospectiva 1987 – 2011」(Museu de Arte Contemporaneo、2011〜12)、「Hiper Cultura Loucura en el Vertigo del Mundo」(Faena Arts Center、2011)、「The Edges of the World」(Hayward Gallery、2010)、「Dengo」(サンパウロ近代美術館、2010)など。日本国内では「ブラジル:ボディ・ノスタルジア」(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、2004)や第3回越後妻有アートトリエンナーレ(十日町市ほか、2006)など大規模なグループ展や国際展に参加したほか、個展「Madness is part of Life」(エスパス・ルイ・ヴィトン東京、2012〜13)を行った。