文化財は、暮らしを支える「インフラ」である
──最後に、災害が頻発する日本で文化財を未来へ残していくために、専門家や行政だけでなく、文化財を楽しむ一般の人々に知っておいてほしいことはありますか。
高妻 最初にもお話ししたように、私たちは文化財を、指定されたものや「お宝」だけだとは考えていません。地域やそれぞれの暮らしのなかにあって、先祖から受け継がれ、それをまた次の世代へと引き継いでいくものです。私はそういうものを「文化遺産」と呼んでいます。
道路が壊れる。電気やガスが止まる。水道から水が出なくなる。それらが生活に必要なインフラであるのと同じように、文化遺産もまた、その土地で人が生きていくために欠かせないインフラのひとつです。
災害直後には、すべてが失われたような大きな喪失感があります。でも、同じ地域の記憶を持った人たちがそこへ戻ってきて、受け継いできた文化が再び芽を出していく。それが地域の復興につながっていくのです。
文化が復興するということは、生活そのものが復興するということです。経済と文化の復興は、両輪でなければいけないと思っています。



















