身体をめぐる切実な希求がかたちになるとき。中村佑子評「塩田千春展:魂がふるえる」

糸を用いた大規模なインスタレーション作品などで、世界的に高い評価を得ている塩田千春。25年にわたる活動を網羅的に見せる過去最大規模の個展が森美術館で開催中だ。一昨年にがんが再発し、死と寄り添いながら治療と制作を進めてきたという作家は、いま、身体や魂の存在とどのように向き合い、かたちにするのか。映像作家の中村佑子がその軌跡を論じる。

REVIEW

戦後日本の彫刻を牽引し、彫刻教育の礎を築いた一人。佐原しおり評「清水多嘉示資料展―石膏原型の全てと戦後資料(第Ⅲ期)」

戦後の具象彫刻を牽引するいっぽうで、帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)の創設にも関わり、以降40年間にわたり同学で教鞭を執り続けた清水多嘉示(しみず・たかし)。武蔵野美術大学美術館では、そんな清水の功績をたどる「資料展」として、清水資料の全容を可能な限り展示することが試みられた。資料調査のワーク・イン・プログレスを「展覧会」というフレームで提示した本展を、埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

REVIEW

SBIアートオークションが開催。最高落札額は藤田嗣治の4600万円、取引総額は約6億円に

7月27日13時より東京・代官山で開催されたSBIアートオークションのモダン&コンテンポラリーセール。現代美術作品を中心としたアートオークションとしては日本有数の規模を誇るオークションであり、今回も500点近い作品が出品された。会場の様子と、主要な落札結果をピックアップしてレポートする。

NEWS / MARKET

2つの原爆資料館、その「展示」が伝えるもの。小田原のどか評「広島平和記念資料館」

2019年4月、広島平和記念資料館で1955年の開館以来3度目となる展示リニューアルが行われた。「実物資料で表現すること」などを展示方針に掲げたこのリニューアルでは何が変わり、何をもたらしたのか? もうひとつの資料館である長崎原爆資料館における加害展示論争とともに論じ、彫刻家・彫刻史家の小田原のどかが、いまだ見ぬ「国立の戦争博物館」における展示の未来について問う。

INSIGHT

みずみずしく淀みない絵画世界。一貫して風景画を描き続ける津上みゆきの個展が長崎県美術館で開催

国内外で活躍する画家・津上みゆきの個展「View ― 人の風景」が、長崎県美術館で開催される。本展では、2018年度に朝日新聞紙面で連載された朝井まかてによる小説『グッドバイ』の挿画制作を機に長崎に取材したシリーズの原画全54点に加え、江戸時代より続く秋の大祭「長崎くんち」の風景を描いた2枚1組の横幅6メートルにおよぶ大作などを、スケッチとともに見ることができる。会期は8月3日~10月9日。

NEWS / EXHIBITION

大正時代の夭折画家、20余年の生涯を追って。関根正二の回顧展が福島県立美術館ほかで開催へ

大正時代に活動し、20歳と2ヶ月の若さでこの世を去った画家・関根正二。約160点の作品と資料による20年ぶり、過去最大の回顧展「生誕120年・没後100年 関根正二展」が、福島県立美術館(9月14日~11月10日)を皮切りに三重県立美術館(11月23日~2020年1月19日)、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館(2020年2月1日~3月22日)で開催される。

NEWS / EXHIBITION

森山大道の写真が渋谷をジャック。山田智和も参加の「SHIBUYA / 森山大道 / NEXT GEN」とは?

渋谷を舞台としたアート・プロジェクト「SHIBUYA / 森山大道 / NEXT GEN」が今夏開催。渋谷駅周辺の路地裏を森山大道の写真がジャックする「STREET」(8月2日〜15日)、東横線渋谷駅のヒカリエ改札地下4階の空間で森山や山田智和が参加する「UNDERGROUND」(8月1日〜4日)などの展示が行われる。

NEWS / EXHIBITION

マリー・アントワネットの全貌に迫る。「イメージのメタモルフォーゼ」展が元牢獄のパリ・コンシェルジュリーで開催へ

「軽率、浪費家」とも言われ、革命の犠牲者でもあったフランスの王妃、マリー・アントワネット。その人生の全貌に迫る展覧会「マリー・アントワネット、イメージのメタモルフォーゼ」が、10月16日よりパリのコンシェルジュリーで行われる。

NEWS / EXHIBITION

第7回

彫刻とジェンダー、美大の状況。 アーティスト・笠原恵実子インタビュー シリーズ:ジェンダーフリーは可能か?(6)

世界経済フォーラム(WEF)による2018年度版「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は「調査対象の149ヶ国中110位」という低順位であることが明らかになったが、日本の美術界の現状はどうか。美術手帖では、全11回のシリーズ「ジェンダーフリーは可能か?」として、日本の美術界でのジェンダーバランスのデータ、歴史を整理。そして、美術関係者のインタビューや論考を通して、これからあるべき「ジェンダーフリー(固定的な性別による役割分担にとらわれず、男女が平等に、自らの能力を生かして自由に行動・生活できること)」のための展望を示していく。第6回では、西洋を起源とする制度や二元的思想への疑問を発端に作品制作を続けてきたアーティスト・笠原恵実子に話を聞いた。