瀬戸内国際芸術祭から原美術館「自然国家」まで、今週末に見たい3つの展覧会

夏会期がスタート。「瀬戸内国際芸術祭2019」（直島、豊島、女木島など）

　瀬戸内海の島や周辺港を会場に、3年おきに行われる日本最大規模の国際芸術祭「瀬戸内国際芸術祭」。その夏会期が7月19日にスタートした。

　今期の新作は、レアンドロ・エルリッヒのインスタレーション《ランドリー》、宮永愛子が美容室を改修した《ヘアサロン壽》、かつて自由を求めて大島から対岸の庵治町へと海を泳いで渡ろうとした患者たちの経験をもとにした、山川冬樹の《海峡の歌/Strait Songs》など。グレゴール・シュナイダーの《未知の作品2019》や遠藤利克の《Trieb－家》など、空き家、廃屋を舞台とした大規模な作品も目立つ。レポートやガイドブックを参考に、島探訪の計画を立ててはいかがだろうか。

会期：
夏（あつまる夏）：2019年7月19日〜8月25日
秋（ひろがる秋）：2019年9月28日〜11月4日
会場：直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島（春）、本島（秋）、高見島（秋）、粟島（秋）、伊吹島（秋）、高松港周辺、宇野港周辺
料金：3シーズンパスポート：一般 4800円 / 16〜18歳 3000円
会期限定パスポート：一般 4000円 / 16〜18歳 2500円

日本の美術館での初個展。「大山エンリコイサム Kairosphere」（ポーラ美術館）

　箱根のポーラ美術館に昨年新設された現代美術のための展示スペース「アトリウム ギャラリー」。同所で開催中の、ニューヨーク拠点のアーティスト 大山エンリコイサムによる個展「Kairosphere」が7月28日に閉幕する。

 「Kairosphere」とは大山による造語で、主観的・内的な時間を表す「kairo」と、不可視なものを含みこむ圏域としての「sphere」を組み合わせたもの。大山にとって日本の美術館での初個展となる本展では、自身が「スタジオで描ける最大サイズの作品」と話す横幅9メートルもの大作、高校卒業時にプロポーザル（申請）を通して校内のコンクリート壁に制作した絵画作品の関連資料や、高校〜大学時代に制作したドローイングをまとめたスケッチブック、大学院修了時の作品などが集結。作品・資料の連続性に注目してほしい。

会期：2019年3月23日～7月28日
会場：ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
住所：神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
電話番号：0460-84-2111
開館時間：9:00〜17:00　※入館は閉館の30分前まで
休館日：無休（展示替えのための臨時休館あり）
料金：アトリウム ギャラリーのみ無料　※なおポーラ美術館の企画展やレストラン利用などは 大人 1800円 / 65歳以上 1600円 / 大学・高校生 1300円 / 中・小学生 700円（土曜日無料）

「非武装地帯（DMZ）」を舞台に。「自然国家：Dreaming of Earth Project」（原美術館）

　原美術館の展覧会「自然国家：Dreaming of Earth Project」も7月28日に閉幕する。韓国のアーティスト、崔在銀（チェ・ジェウン）が発案、構成した本展は、朝鮮戦争休戦後、65年の歳月を経て非武装地帯（DMZ）に生まれた豊かな生態系を守り、自然と人との共生を願って崔が構想した「Dreaming of Earth（大地の夢）」プロジェクトを可視化することを目的とした企画。

　崔が信頼を置くアーティストや建築家によるインスタレーション、ドローイング、彫刻などが展示され、崔のほか、川俣正や李禹煥（リ・ウーファン）、スタジオ・ムンバイ、スタジオ アザースペーシズ オラファー・エリアソン アンド セバスチャン・ベーマンなどが参加している。2020年12月末をもって閉館する原美術館の、残り少ない企画展をお見逃しなく。

会期：2019年4月13日〜7月28日
会場：原美術館
住所：東京都品川区北品川4-7-25
電話番号：03-3445-0651
開館時間：11:00〜17:00（祝日を除く水〜20:00）　※入館は閉館の30分前まで
休館日：月
料金：一般 1100円 / 大学・高校生 700円 / 小・中学生 500円