津上みゆきは1973年東京生まれの画家。1998年に京都造形芸術大学大学院芸術研究科を修了した。2005年、大原美術館によるアーティスト・レジデンス・プログラム「ARKO」第1回の招聘作家として岡山県倉敷市で滞在制作を行った。
13年には五島記念文化賞美術新人賞を受賞し、これを機に五島記念文化財団研修員としてイギリスに留学。15年より文化庁新進芸術家海外研修制度を利用して、ドイツで滞在制作に取り組んだ。
一貫して、様々な場所に足を運ぶなかで出会った風景をスケッチし、これをもとに「View」と冠した風景画を描いてきた津上。一連の作品群は、土地それぞれの自然や風土にまつわる記憶と経験を内包し、独自の淀みない絵画世界を提示している。眺めや風景だけでなく、見方や観点といった広義を意識した表現は高く評価され、これまで国内外の美術館やギャラリーで数多くの展示を行ってきた。
津上は、18年度に朝日新聞紙面で連載された朝井まかてによる小説『グッドバイ』の挿画制作を機に、長崎に取材した連作に着手。今回、長崎県美術館で開催される津上の個展「View ― 人の風景」では、同シリーズの原画全54点に加え、江戸時代より続く秋の大祭「長崎くんち」の風景を描いた2枚1組の横幅6メートルにおよぶ大作をはじめとする多数のタブローがスケッチとともに展示される。