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平成の家族のかたち。椹木野衣評「しんかぞく」「作家で、母で つくる そだてる 長島有里枝」「長島有里枝展」「ホーム・ランド」「テーリ・テムリッツ『不産主義』」

平成から令和へ。その変化の前後に開催された、画家・和田唯奈がキュレーターを務める「しんかぞく」展、ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校 第4期の選抜成果展「ホーム・ランド」、写真家・長島有里枝のふたつの展覧会、そして日本在住のマルチメディア・アーティスト、テーム・テムリッツによるパフォーマンス『不産主義』。「家族」をキーワードに、これら5つを椹木野衣が読み解く。

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コラージュに見る、自由と即興の差異。清水穣評 「ヴィンセント・フェクトー」展と「THE COPY TRAVELERS|雲型定規がヤマをはる」展

彫刻家ヴィンセント・フェクトーの日本初個展と、加納俊輔、迫鉄平、上田良の3人によるユニット「THE COPY TRAVELERS」による展覧会「雲型定規がヤマをはる」を清水穣がレビュー。オルタナティヴ・モダンの作家としての前者が造形に追い求める自由と、次々とコラージュを生み出す後者の即興、そのあいだに存在する差異とは?

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ある次元に「超暴力」の名を与えるとき。 長谷川新評 超暴力展

愛知県名古屋市の山下ビルで開催された、中路景暁、髙橋莉子、菊池和晃の3名による超暴力展。「超暴力」という挑発的な造語を冠していながら、本展で展示された3名のパフォーマンスは、それぞれ直接的には暴力と結びつく内容ではなかった。ではいったい何が「超暴力」だったのだろうか? 本展を、インディペンデント・キュレーターの長谷川新が論じる。

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自身の身体感覚で「東京を測っていく」。大岩雄典評 高橋臨太郎個展「スケールヒア」

1991年生まれのアーティスト・高橋臨太郎の個展が東京のBLOCK HOUSEで開催された。自身の身体によって空間に働きかけるパフォーマンスや、映像やインスタレーションなどのメディアに物質や身体の限界までエネルギーを加え、「変化する意識」について思考する作品を発表してきた高橋。渋谷と原宿のあいだにあるギャラリーを会場に、東京という土地を自身の身体感覚で「測っていく」ことをテーマにした本展について、気鋭のアーティスト・大岩雄典がレビューする。

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ぶつかりあうアジア各国の「曖昧な私」。佐原しおり評 「ミニマリズム-空間、光、そしてオブジェ」展

ミニマリズムの名を冠した東南アジア初の展覧会として「ミニマリズム - 空間、光、そしてオブジェ」が、シンガポールを代表する2つの美術館、ナショナル・ギャラリー・シンガポールとアートサイエンス・ミュージアムで開催された。ミニマル・アートを代表する作家から再評価されつつある女性作家、そして現代の表現までを取り上げ、ミニマリズムの解釈を拡大させた本展を、埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

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透明感のある日常の風景にやどる気配は、どこからくるのか。大森俊克評「アペルト09 西村有 paragraph」展

山道を走る自動車や郊外の家並み、森のなかを歩く人物など、日常の一断面を描く画家、西村有。どこでもないどこかのような、異世界感をはらむ西村の絵画について、度々論じてきた大森俊克が、金沢21世紀美術館で開催された「アペルト09 西村有 paragraph」を中心に、「地域性」という視点を取り入れ、新たな風景論を展開する。

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わずかにひびの入った卵の中に。中村史子評「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ 日本館『Cosmo-Eggs│宇宙の卵』」

第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館のタイトルは「Cosmo-Eggs│宇宙の卵」。秋田公立美術大学大学院准教授の服部浩之がキュレーションを行い、美術家の下道基行、作曲家の安野太郎、人類学者の石倉敏明、建築家の能作文徳という異なる領域の専門家のコレクティブが体験の場をつくることを試みる。下道が数年間リサーチと撮影を続けている「津波石」を起点とする本展を、愛知県美術館学芸員の中村史子がレビューする。

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イメージを求め、人と自然の極限を見つめる。冨山由紀子評「志賀理江子 ヒューマン・スプリング」展

宮城県を拠点に、フィールドワークに基づいた写真作品を発表してきた志賀理江子による個展「ヒューマン・スプリング」が東京都写真美術館で開催された。いまを生きる人々の心身の衝動や反動などに焦点をあてた新作写真インスタレーションが提示する問いとは何か。写真研究者の冨山由紀子がレビューする。

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スマホ越しに交わされる視線と、その先に見えるもの。越智雄磨評「荒木悠展:LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ」

世界各地での滞在制作を通して、文化の伝播や誤訳、その過程で生じる差異や類似などに着目し、社会・歴史を背景にした映像作品を制作してきた荒木悠。そんな荒木の新作展となる個展が、東京・銀座の資生堂ギャラリーで開催されている。明治期に日本を訪れ、紀行文を残したフランス人作家ピエール・ロティの『秋の日本』と、芥川龍之介の『舞踏会』に着想を得た本展で荒木が見せるものとは? 演劇/ダンス研究者の越智雄磨が読み解く。

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新たな東京都現代美術館のマニフェストとして。小金沢智評「百年の編み手たち -流動する日本の近現代美術-」

約3年にわたる休館を経て、今年3月29日にリニューアル・オープンを迎えた東京都現代美術館。そのリニューアル第1弾として6月16日まで開催中の企画展が「百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-」だ。1910年代から現在まで、100年にわたる日本の美術について、編集的な視点で新旧の表現をとらえるとともに、独自の創作を展開した「編み手」である作家たちの実践として、同館コレクションを核に再考するという本展を太田市美術館・図書館学芸員の小金沢智が論じる。

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北緯38度線の分断から見えるものとは何か? 小田原のどか評「自然国家」展

韓国出身のアーティスト・崔在銀(チェ・ジェウン)による「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の構想を可視化する展覧会「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」が、東京・品川の原美術館で開催されている。朝鮮半島を二つに分断する北緯38度線地帯を舞台としたDreaming of Earth Projectが日本で紹介される意義とは何か? 彫刻家で彫刻研究者の小田原のどかがレビューする。

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2次元に還元されたグラビアアイドル写真の真意とは? 中村史子評 THE COPY TRAVELERS 「雲型定規がヤマをはる」「THE COPY TRAVELERSのA室」展

加納俊輔、迫鉄平、上田良の3作家からなる THE COPY TRAVELERS(コピー・トラベラーズ)は、写真などのイメージを複製やコラージュの手法で再構成するコレクティブである。愛知県美術館学芸員の中村史子が、この2月と4月に連続して催された2つの個展を通して、それらに共通する「女性たちのイメージ」に着目し、彼らの意図を探る。

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身体の振る舞いを作品化する。松岡剛評 うらあやか「私はそれを“ダンスの素子”と名付ける。」展

パフォーマンスを中心に作品を制作する若手アーティスト、うらあやかの個展が、広島芸術センターで開催された。「ダンス」の概念を応用し、ワークショップをもとにした作品やインスタレーションなどが展開された本展を、広島市現代美術館学芸員の松岡剛がレビューする。

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「肉体の旅」と「心臓の旅」、 2つの旅路をなぞる。飯岡陸評 落合多武展「ショパン、97分間」

落書きのようなドローイングやペインティング、オブジェ、ビデオなど様々な表現方法を用いて、自身の連想のプロセスをかたちにする落合多武。そんな落合の個展「ショパン、97分間」が、日光東照宮のほど近く、安川町に位置するスペース「てつおのガレージ」で開催された。ショパンの死後、彼の心臓だけが故郷へ帰還したという逸話をもとに展開された本展を、キュレーターの飯岡陸が読み解く。

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地域美術史と、美術館の普遍的価値を考える。 鈴木俊晴評「ミュージアム・グローバル」展

ドイツ・デュッセルドルフにある公立美術館、ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館(K20)で開催された「ミュージアム・グローバル」展。世界7つの地域における1910〜60年代の作品を紹介する展覧会だ。東京、モスクワ、サンパウロ、メキシコシティ、シムラ、ベイルート、ザリアといったヨーロッパ以外の都市におけるモダニズムの受容について、同館の研究者らが数年にわたって取り組んだプロジェクトの成果として発表された。豊田市美術館学芸員の鈴木俊晴が考察する。

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未知と既知、可知と不可知のあいだ。中尾拓哉評 平川紀道「human property(alien territory)」

日常生活を支えるテクノロジーの計算に注目し、コンピュータ・プログラミングによる数理的処理や、その結果を用いたインスタレーション作品を発表してきた平川紀道。現代社会に絶えず存在する未知の領域との接続のあり方や、既知とのあいだに存在するわずかな値を探求する平川作品を、中尾拓哉がレビューする。

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映像、テキスト、水、構造物ー重層的な空間がおりなす体験とは。福尾匠評 大岩雄典「スローアクター」展

既製品や映像、ものなど、多彩な要素を組み合わせたインスタレーションをてがける大岩雄典が、東京・駒込倉庫にて、美術家で建築家の砂山太一企画による個展を開催した。2階建ての建物全体を用いて大岩の作品が配置された同展は、会場構成に建築家・奥泉理佐子も参加し、重層的な意味構造と空間体験を生み出している。本展について、フランス哲学、芸術学、映像論を専門とする福尾匠がレビューする。

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