無観客展覧会を「開く」ことの葛藤、そしてそこから見出したのもの。茅ヶ崎市美術館キュレーター・藤川悠に聞く

昨年行われた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会公式文化プログラム「東京2020 NIPPONフェスティバル」。そのなかで、唯一、実空間の会場での開催準備を進めていた「Our Glorious Future ~KANAGAWA 2021~」は、2021年の夏、東京都で緊急事態宣言発令に伴い、開幕予定の1ヶ月前に無観客展示が確定した。日本でも前例のないこの無観客展示を手がけたキュレーターの藤川悠はそこから何を見出したのか?

INTERVIEW

『ドライブ・マイ・カー』で世界の注目を集めた美術監督。徐賢先(ソ・ヒョンソン)が『マイスモールランド』で見せたプロフェッショナルな仕事に迫る

新鋭の映画監督として注目を集める川和田恵真にとって長編映画デビューとなる『マイスモールランド』が現在公開中だ。クルド人の少女・サーリャが “自分の居場所(アイデンティティー)”に悩み苦しみながらも成長していく姿を描いた本作では、『ドライブ・マイ・カー』で世界の注目を集めた美術監督・徐賢先(ソ・ヒョンソン)によって、物語に溶け込んだリアリティーあふれる情景や空間が生み出された。「在日クルド人のありのままの暮らしを再現した」という徐のプロフェッショナルな仕事ぶりにスポットを当てる。

INTERVIEW

PREMIUM

第2回

金澤韻連載「中国現代美術館のいま」:巨大な燃油タンクから見たコレクターの柔軟な感性──「TANK」

経済発展を背景に、中国では毎年新しい美術館・博物館が続々と開館し、ある種珍異な光景を見せている。本連載では、そんな中国の美術館生態系の実態を上海在住のキュレーター・金澤韻が案内。第2回は、2019年3月に開館した「上海油缶芸術中心」(TANK)をお届けする。

PREMIUM

モディリアーニの軌跡──《髪をほどいた横たわる裸婦》誕生まで

長く引き伸ばされた顔や首に、瞳のないアーモンド形の目。不気味さの中にも、独特の哀愁と優美さを感じさせ、一度見たら、忘れることはできない。そのような画風と、酒と麻薬に溺れた短い生涯から、「呪われた画家」「破滅型の天才」といったイメージで語られやすい画家アメデオ・モディリアーニ。しかし、その画家としての経歴を紐解いてみると、ままならぬ現実に葛藤し、苦悩しながらも、真摯に自分の「芸術」を追い求めていく、一人の男の姿である。今回は、大阪中之島美術館で開催中の開館記念特別展「モディリアーニ」に寄せ、彼の描いた裸婦像の最高作とも言うべき《髪をほどいた横たわる裸婦》誕生までをたどってみたい。

INSIGHT

【DIALOGUE for ART Vol.4】美大生の青春から美術家として活躍するまで、ふたりが描いた真逆の軌跡

「OIL by 美術手帖」がお送りする、アーティスト対談企画。京都在住の加納俊輔と、大阪在住の安田知司は、嵯峨美術大学出身の同期生だ。加納がロジカルに作風とキャリアを積み重ねてきたのに対し、安田の作家歴は迷走と愚直さに満ちている。対照的な個性と深い友情で結ばれた彼らが、たがいの軌跡と作品について語り合った。

INTERVIEW / OIL

第52回

櫛野展正連載「アウトサイドの隣人たち」:時は動き出す

ヤンキー文化や死刑囚による絵画など、美術の「正史」から外れた表現活動を取り上げる展覧会を扱ってきたアウトサイダー・キュレーター、櫛野展正。2016年4月にギャラリー兼イベントスペース「クシノテラス」を立ち上げ、「表現の根源に迫る」人間たちを紹介する活動を続けている。彼がアウトサイドな表現者たちに取材し、その内面に迫る連載。第52回は、独学でオリジナルのゼンマイ式掛け時計をつくり続ける黒田清孝さんを紹介する。

同い年の憎いやつ。会田誠は「ダミアン・ハースト 桜」展をどう見たのか?

パリに拠点を置くカルティエ現代美術財団が、国際的な巡回展として国立新美術館とともに開催している「ダミアン・ハースト 桜」。3年かけて107点を描いた「桜」のシリーズから24点を作家自らが選び、すべての壁面に白く塗ったベニア板を貼って床に接する部分の幅木を隠し、展示室の扉も隠れるように展示デザインをすることで、白いフラットな壁面と桜だけの空間を仕上げた。絵画をメインの表現メディウムとするアーティストは、ダミアン・ハーストのこの表現をどのように見るのだろうか。会田誠に会場で話を聞いた。

INTERVIEW / PROMOTION