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ジブリパークがいよいよ開園。名作アニメの舞台に入り込む3エリアがオープン

11月1日、愛知・長久手市の愛・地球博記念公園内に「ジブリパーク」が開園する。第一期開園エリアの「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」についてレポートする。

文・写真=安原真広(ウェブ版「美術手帖」編集部)

ジブリの大倉庫の内観 ©Studio Ghibli

 11月1日、愛知・長久手市の愛・地球博記念公園内に「ジブリパーク」が開園する。『となりのトトロ』『耳をすませば』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』といったスタジオジブリのアニメーション作品の世界を表現した公園で、第一期開園として「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の3エリアがオープンする。開園に先んじて、その内容をレポートしたい。

ジブリの大倉庫の外観

ジブリの大倉庫

 ジブリパークのメインエリアとなる「ジブリの大倉庫」は、施設内に映像展示室、3つの企画展示室、ショップやカフェなどが同居する施設だ。屋内はひとつの街のようになっており、ジブリ作品の世界観にひたることができる。

ジブリの大倉庫の入口
ジブリの大倉庫の内観 ©Studio Ghibli

 まずは、企画展示から紹介したい。「ジブリのなりきり名場面展」は、スタジオジブリ作品の登場人物になりきり、各作品の名場面のなかに入り込めるという趣向の展示だ。『千と千尋の神隠し』の電車内、『紅の豚』の決闘の場面、『崖の上のポニョ』の波の上を走るポニョなど、各作品を象徴する場面を立体で表現。さながら作品に入り込んだかのような写真を撮影することができる。

「ジブリのなりきり名場面展」の『千と千尋の神隠し』の展示 提供=ジブリパーク広報事務局 ©Studio Ghibli
「ジブリのなりきり名場面展」の『紅の豚』の展示 ©Studio Ghibli
「ジブリのなりきり名場面展」の『崖の上のポニョ』の展示 ©Studio Ghibli

 企画展示室では、2017〜18年に三鷹の森ジブリ美術館で開催された企画展「食べるを描く。」が「増補改訂版」と名打たれ開催される。本展はジブリ作品の食べ物がなぜおいしそうなのかを、原画や設定画、タイムシートといった作画資料と、著名なシーンの再現展示から読み解いていくものだ。

企画展示室入口 ©Studio Ghibli
「食べるを描く。」増補改訂版のエントランス ©Studio Ghibli

 例えば『千と千尋の神隠し』で、泣きながら主人公・千尋がおにぎりを食べるシーン。次第に食欲を取り戻し、おにぎりを食べ進めながら大粒の涙がこぼれていくカットの原画が展示されている。いずれも作画監督による修正が入った修正原画だが、一度見たら忘れられないこの印象的なカットがいかにして演出され設計されたのかを、作画から知ることができる。

「食べるを描く。」の『千と千尋の神隠し』の展示風景 ©Studio Ghibli

 『千と千尋の神隠し』からはほかにも、千尋の両親が神様のための料理を食べてしまった屋台や、豚にされた両親が入れられてしまった豚小屋などが再現されており、作画資料と立体の双方から作品のイメージに近づくことができる。

「食べるを描く。」の『千と千尋の神隠し』の展示風景 ©Studio Ghibli
「食べるを描く。」の『千と千尋の神隠し』の展示風景 ©Studio Ghibli

 また『崖の上のポニョ』のキッチンや『となりのトトロ』の食卓、『天空の城ラピュタ』の飛行艇・タイガーモス号の厨房など、スタジオジブリ作品の食にまつわる名場面を細部まで再現した展示が見どころだ。

「食べるを描く。」の『崖の上のポニョ』の展示風景 ©Studio Ghibli
「食べるを描く。」の『となりのトトロ』の展示風景 ©Studio Ghibli
「食べるを描く。」の『天空の城ラピュタ』の展示風景 ©Studio Ghibli

 「映像展示室オリヲン座」は、ジブリの大倉庫内にある約170席の映像展示室だ。ここでは「三鷹の森ジブリ美術館」でのみ上映されてきたスタジオジブリの短編アニメーション全10作品を順番に上映する。

映像展示室オリヲン座 ©Studio Ghibli

 開園時の上映作品は、2001年に宮崎駿が監督を手がけた約16分の作品『くじらとり』だ。『コロの大さんぽ』や『水グモもんもん』『毛虫のボロ』といった、知る人ぞ知る宮崎駿の傑作短編が今後も上映されていく予定となっている。

 また「公開倉庫」もスタジオジブリの裏側を覗き見ることができる見逃せないスポットとなっている。三鷹の森ジブリ美術館での企画展示や、国内外の展覧会で展示した制作物や造形物を保管する倉庫の一部を開放。スタジオジブリの歴史に思いを馳せることができる。

公開倉庫 ©Studio Ghibli
公開倉庫 ©Studio Ghibli

 ほかにもジブリの大倉庫には子供向けの遊び場である「子どもの街」や「ネコバスルーム」、書籍や模型、駄菓子の店がある「南街」といったエリアもある。また、『天空の城ラピュタ』に出てくるロボット兵がたたずむ「天空の庭」、『風立ちぬ』に出てくるお菓子「シベリア」を想起させるミルクスタンド「シベリ・アン」、ショップやカフェなど多様な施設を楽しむことが可能だ。

子どもの街 ©Studio Ghibli
天空の庭 ©Studio Ghibli
ジブリの大倉庫ショップ 冒険旅行団 ©Studio Ghibli

青春の丘

 北口入口にほど近い「青春の丘」は『耳をすませば』の舞台である「地球屋」、『猫の恩返し』に登場した「猫の事務所」、そしてジブリパークの入口とでも言うべき「エレベーター塔」の3つから構成されている。

地球屋の外観 ©Studio Ghibli

 「エレベーター塔」は『天空の城ラピュタ』や『ハウルの動く城』の世界観の着想源となった19世紀末の空想科学的世界をモチーフにした塔。北口広場で来場者を迎える。

エレベーター塔 ©Studio Ghibli

 「地球屋」では『耳をすませば』の作中で天沢聖司がヴァイオリン制作を学んでいた工房が1階に、アンティーク家具とともに猫のバロンの人形が置かれた店舗部分が2階にある。「地球屋」の傍らにはミニチュアサイズの「猫の事務所」もあるので、こちらも併せて楽しみたい。

地球屋の内観 ©Studio Ghibli
地球屋の内観 ©Studio Ghibli
猫の事務所 ©Studio Ghibli

どんどこ森

 「どんどこ森」は『となりのトトロ』の「サツキとメイの家」を中心にしたエリアで、森の散策路と一帯になっている。

サツキとメイの家の外観 ©Studio Ghibli

 「サツキとメイの家」は2005年の「愛・地球博」のパビリオンとして建てられ、ジブリパークに引き継がれ公開されているもの。劇中の設定に併せて、昭和10年代の建築様式や30年代の生活様式が再現されている。

サツキとメイの家の内観 ©Studio Ghibli
サツキとメイの家の内観 ©Studio Ghibli

 この「サツキとメイの家」の裏山の山頂には、新たに「どんどこ堂」がつくられた。トトロの姿を模した高さ約5メートルの木製遊具で、小学生以下の子供が中に入って遊ぶことができる。

どんどこ堂 ©Studio Ghibli

 スタジオジブリの世界に、資料と再現展示の双方で迫る本施設。誰もが一度は見たことのある作品に新たな発見を与えてくれそうだ。

 なお、ジブリパークは2023年秋に『もののけ姫』の世界をイメージし、陶芸をはじめとした体験学習施設を有する「もののけの里」が開園予定。さらに2024年3月には『魔女の宅急便』『ハウルの動く城』『アーヤと魔女』といった魔女の登場する作品の建物が楽しめる「魔女の谷」も開園する予定となっている。

編集部

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