TARO賞受賞作家が岡本敏子を通して岡本太郎を見る。「弓指寛治 “饗宴”」が岡本太郎記念館で開催へ

東京・南青山の岡本太郎記念館にて、弓指寛治初の企画展「弓指寛治 “饗宴”」が開催される。岡本太郎の芸術を次世代に残すために奔走した岡本敏子の視点に立つものになる。会期は2022年11月23日〜2023年3月21日。

弓指寛治 眠る太郎

 弓指寛治の企画展「弓指寛治 “饗宴”」が、東京・南青山の岡本太郎記念館にて開催される。同展は、岡本太郎の芸術を次世代に残すために尽力した岡本敏子に焦点を当てた内容となる。会期は2022年11月23日〜2023年3月21日。

 弓指寛治は1986年三重県生まれ。これまで「自死」や「慰霊」をテーマに制作を続けてきた現代美術作家だ。2018年に《Oの慰霊》で第21回岡本太郎現代芸術賞敏子賞を受賞。19年にはあいちトリエンナーレに招聘され、21年のVOCA展でも受賞を果たすなど活躍の場を広げている。

弓指寛治

 そんな弓指にとって、本展は岡本太郎記念館では初の企画展「弓指寛治 “饗宴”」。岡本太郎のアトリエの跡地に岡本敏子が開いた同館は弓指にとって、特別展示「太郎は戦場へ行った」(2019)のほか、庭に壁画《焼夷弾は街に一発も落ちない》(2021)を制作するなど、岡本太郎と対峙する制作の舞台になってきた。

 今回の展示に際して弓指は、「多くの芸術家が忘れられその作品も眠り続けるなか岡本太郎は例外である」という気づきから、芸術家・岡本太郎を次世代に伝えた岡本敏子の生を通して「芸術や芸術家を後世に残すこと」を探るという。

 同館館長の平野暁臣は本展について、「重心はむしろ敏子にあるし、敏子をとおして太郎を見ている。かつてないユニークな視点を引っさげ、ここ岡本太郎記念館に乗り込んできました」と述べている。

 半世紀にわたって岡本太郎と併走し、その没後にはその芸術復活に向けて奔走した岡本敏子。本展で弓指は、彼女の見聞きしたものや思考に対する想像と推測を重ね、ふたたびその「生活」を立ち上げることを試みる。その空間を訪れ、芸術を残し伝えることに思いを馳せてみてはいかがだろうか。

編集部

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