「環(めぐ)るデザイン」を探る。「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022」が東京ミッドタウンで開幕
「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトに、今年で第15回目の開催となる「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022」が、東京ミッドタウン内で開幕した。今年のイベントの見どころや関連イベントをレポートで紹介する。
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「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトに、2007年より開催されてきたデザインイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」。その第15回目が、東京ミッドタウン内で開幕した。
国内外の第一線で活躍する注目のデザイナーが集い、デザインの魅力や可能性を誰もが身近に体感できる同イベント。今回のキーワードは「環(めぐ)るデザイン」となり、目まぐるしく変化する生活や新しい価値観が次々と生まれる現代において、持続可能な未来へのヒントをデザインを通じて探るというものだ。
本イベントではミッドタウン・ガーデンやミッドタウン内ガレリアなど各所に作品が展示されているため、今回はガーデン入り口の作品から順に紹介していく。
ガーデン遊歩道に登場した約2000個の花のようなオブジェ《as it is. -equilibrium flower-》はデザインスタジオ・TAKT PROJECTによるもの。「熱で硬くなる生地」で成形されており、部分的に熱を加えることで、硬化して立ち上がる部分と、布の柔らかさがオブジェ内に共存している。人工的な素材をいかに自然と調和させるかという点に着目して制作されているのがポイントだ。また、ガーデン内の植物によって草木染されたオブジェも存在し、人工物と自然をつなぐための試みのひとつと言える。
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遊歩道を進むと、広場には建築家集団 / デザインユニット・ENERGY MEETによる農業ををめぐる実験的インスタレーション《F.A.R.M. -Future Agricultural Rights for Mankind-》が展示されている。農業に必要な様々な要素を分解しユニット化することで、ブロック的に積み上げた立体的な農業システムを構築できるデザインだ。都市型農業への新たな可能性の提示となるだろう。
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その先の芝生広場には、建築家・永山祐子による巨大インスタレーション《うみのハンモック》が現れる。島国・日本の海洋汚染に着目した永山は、廃棄された漁網をアップサイクルしてこの作品を制作した。海の波のように見えるハンモックとタープは、遊んだり休憩スペースとしても楽しむことができる。普段から憩いの場となっているこの広場が、作品を通じて環境問題を考える場に変化している点は面白い。
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ミッドタウン内に展示されている作品についてもいくつか紹介したい。ガレリア2階に設置されている《Life Beat》はクリエイター集団・CORNERによるもの。「生命の循環」に着目したこの作品は、動物によって異なる心拍のリズムが点滅する光のスピードで可視化されている。しかし、これらの光はひとつの集合体としてもとらえることができ、人間は多様な動物のなかのひとつであり、切り離せない関係性であるということにあらためて気付かされる。
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同じくガレリア2階には、東京を舞台に様々なジャンルの作品が集まるデザインイベント「DESIGNART TOKYO」から2組の作品が展示されている。
デザインユニット・ambiと金沢のガラス工房・STUDIO RELIGHTによる「series 『sea』」はリサイクルガラスを素材に制作されたプロダクトシリーズだ。リサイクルガラス特有のブルーや細かい気泡の表情は、海の景色を想起させるようだ。
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インテリア・空間デザイナーの山本大介が手がける「FLOW」シリーズからは、廃棄素材を利活用した椅子を展示。山本は使用可能な建築資材が廃棄され、新しい資材で空間をつくり続ける「スクラップアンドビルト」に疑問を持ち、資材のなかでもっとも多く廃棄されている内装下地材「LGS(軽量鉄骨)」に着目した。解体後、不要になったLGSを家具へと再構築することで、資材を廃棄しない流動的なマテリアルを生み出すプロジェクトに挑戦している。
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ガレリアの3階へ上がると、ミラノサローネなど海外で活躍するクリエイターに焦点を当て、インスタレーションを中心に展開する「Salone in Roppongi」も実施されている。10回目の実施となる今年は、デザインスタジオ・YOYによる花器《PUDDLE》が展示されている。花を生け花のように一本の針にさして使用するこの花器は、まるで水たまりに咲く一輪の花のようだ。自然の風景が室内に持ち込まれているかのような不思議な感覚を味わうことができる。
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また、東京ミッドタウン主催のデザインとアートのコンペティション「TOKYO MIDTOWN AWARD 2022」の受賞作品も館内プラザ地下1階にて展示されている。15回目を迎えた今年は全1481点の応募のなかから、デザインが10点、アートが6点と、計16作品が入選。展示期間中には一般投票で人気作品を選出する「オーディエンス賞」も会場とオンラインにて実施されている。
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今回紹介したほかにも関連イベントとして、参加クリエイターによるトークセッション「DESIGN TOUCH Conference」(10月28日〜30日)や、ミッドタウン・タワー5階のデザインハブでは「GOOD DESIGN EXHIBITION 2022」(〜11月6日)が実施されている。こちらも貴重な機会なので、あわせて館内を巡ってみるのもおすすめだ。