「イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY」(PLAY! MUSEUM)開幕レポート。10年前の巡回展に新たな要素を加え、再始動【2/3ページ】

安西水丸の全貌を「仕事」を通じて紐解く

 多岐にわたる領域で足跡を残してきた安西。そのイラストは、誰もが一度は目にしたことがあるだろう。「ヘタウマ」とも評された独特かつ肩の力の抜けたタッチは、安西の作品が長く親しまれる理由のひとつだ。

中央は、安西水丸の定番とも言えるワークジャケットとチノパンのスタイル
安西が手がけた絵本の数々。壁面には、作家であり安西の編集者時代の盟友でもある嵐山光三郎との共作「ピッキーとポッキー」シリーズや、安西の代表作のひとつ『がたん ごとん がたん ごとん』(福音館書店、1987)がある

 展示室の入り口から奥へと広がる「第一部 ぼくの仕事」では、その名の通り安西の仕事の全貌を見ることができる。「ぼくはイラストレーターです」と自らの肩書きを定義しつつも、領域を軽やかに横断したその活動には「あそび」の心が通底している。

村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』(中央公論新社、1983)の装丁をはじめ、様々な共著を出版。その仕事の数々からは親交の深さもうかがえる

 また、安西と親交があった小説家・村上春樹やイラストレーター・和田誠との仕事や取り組みも紹介されている。村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』(中央公論新社、1983)をはじめとする共著の事例に加え、村上の初期短編『午後の最後の芝生』(スイッチ・パブリッシング、2024)のために安西が描いたイメージ画も、今回初めて出展された。

安西による雑誌やポスター、広告などの仕事を通覧できるスペース
安西によるポスター作品の数々

 さらに展示室の奥では、雑誌、ポスター、広告などの仕事を通覧できる。絵本を手がけるいっぽうで、週刊誌やブランド広告といった大人向けのコンテンツにも自身の絵柄を適応させる。その懐の深さもまた、安西作品の魅力と言えるだろう。

編集部