「イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY」(PLAY! MUSEUM)開幕レポート。10年前の巡回展に新たな要素を加え、再始動【3/3ページ】

安西水丸の「ホリゾン」

 安西の作品には、しばしば画面を横切る一本の線が描かれる。それは卓上の境界であり、人が立つ床であり、あるいは地平線であった。このトレードマークともいえる線を、本人は「ホリゾン(水平線)」と呼んでいた。

「第二部 ぼくの水平線」では、「ホリゾン」作品およそ70点に加え、作品に登場する安西の雑貨コレクション、そして安西の原風景でありホリゾンの由来でもある千葉県千倉の海の映像や写真のスライドショーも上映されている

 PLAY! MUSEUMの象徴である大きな楕円の空間では、「第二部 ぼくの水平線」として、このホリゾンが描かれた作品を展示。近年アトリエで発見された原画や、それをもとに制作されたジークレー版画(高精細デジタル版画)を含む約70点が、文字通り水平に並ぶ。

 同空間では、安西の原風景でありホリゾンの由来でもある千葉県千倉の海の映像も上映されている。刻々と変化する海と空の表情、波の音、動物の鳴き声。豊かな自然以外「何もなかった」というこの場所で、安西がどのように美意識を育んできたのか。その一端に触れることができるだろう。

安西による「ホリゾン」作品の原画
安西による「ホリゾン」作品の原画(部分)。モチーフには安西が好んで収集していたスノードームが描かれる

 また、PLAY! MUSEUM名物のワークショップも見逃せない。作家の嵐山光三郎に「雪舟は上手すぎて真似られないが、水丸は下手すぎて真似られない」と称された安西のイラストレーション。その独自のタッチや余白の妙を体感できる「スノードームイラスト」(無料)や「水丸る記念缶バッジ」(500円)といった企画が用意されている。安西作品の魅力を、実際に手を動かして味わってみるのも一興だ。

「スノードームイラスト」のワークショップスペース

編集部