東京・銀座の資生堂ギャラリーで、資生堂による新進アーティストを応援するための公募プログラム「shiseido art egg」の第18回展が開幕。この公募プログラムに入選した大東忍、すずえり(鈴木英倫子)、平田尚也の3名のうち、第1期となる大東忍の個展「不寝の夜(ねずのよる)」がスタートした。会期は4月6日まで。
大東忍は1993年愛知県生まれ。愛知県立芸術大学美術研究科博士前期課程油画・版画領域を修了し、現在は秋田県在住。見知らぬ過疎地や住宅地を歩きながら祖先を供養する「盆踊り」を踊ることで、そこに佇む気配を読み取り、その風景に残る人々の営みや在処について探究する作家だ。昨年は「VOCA展2024」大賞を受賞。その際のインタビューはこちら。

同展では、大東作品のメインとも言える木炭画に加え、映像や写真作品の新作が、天井高のあるギャラリー空間を生かしながら展示されている。
大東は、自身が風景を描くこととなったきっかけのひとつに次のような理由を挙げている。「祖母の住む限界集落に、突如ソーラーパネルが設置されることになりました。もちろん土地の風景は一変。そのような出来事があってから、風景を描くことを通じて、人の営みの痕跡をとらえ、供養をしようとしています」。また、夜の風景を描くのは「その痕跡がより一層露わになるから」であるとも大東は語る。タイトルの「不寝の夜」には、そういった意味が込められているのだ。
