「第16回 shiseido art egg賞」は佐藤壮馬に決定。「既存のアートの枠組みを攪乱し拡張」

2006年にスタートした新進アーティストの活動を応援する公募展「shiseido art egg」。第16回目を迎えた今回の「shiseido art egg賞」は既存のアートの枠組みを攪乱し、拡張していくと評価された佐藤壮馬に決定した。

佐藤壮馬「おもかげのうつろひ」展示風景 撮影=加藤健

 資生堂ギャラリーが2006年にスタートさせた新進アーティストの活動を応援する公募展「shiseido art egg」は、毎年3組のアーティストを選出し、個展形式で展覧会を開催してきた。16回目を迎えた今年は、そのグランプリである「shiseido art egg賞」に、表象の背景にある記憶や慣習について考察した佐藤壮馬が決定した。

 グランプリを受賞した佐藤は1985年北海道生まれ。時空間における身体と心の問題を主題に、表象の背景にある記憶や慣習について考察し、複製技術を用いてアーカイヴされたものを制作に取り入れるなど、モノや空間が持つ時間の流れや、それらとの関係性を表現することを試みている。

佐藤壮馬「おもかげのうつろひ」展示風景 撮影=加藤健

 今年の「shiseido art egg」で個展を開催したのは岡ともみ、YU SORA、佐藤壮馬の3名。磯谷博史(美術家)、温又柔(小説家)、諏訪綾子(アーティスト/food creation主宰)による審査の結果、世界の見え方を疑い科学と人々の心の間に生ずる違和感を表現しようと模索する姿勢が、既存のアートの枠組みを攪乱し、拡張していく大きなポテンシャルを感じさせると評価され、佐藤 が第16回shiseido art egg賞に決定した。

 グランプリに選ばれた佐藤の個展「おもかげのうつろひ」は、2020年大雨により倒れた岐阜県の神明神社の大杉を3Dスキャンで複製し構成する新作を中心に、科学技術と人間の記憶や心の在り方との関係を探る展示となった。

 受賞に際して佐藤は次のようにコメントしている。「小さな心の揺れを静かに見つめ、作品を制作し、展示ができた先にあったこの喜びと経験は、これからの私の創造活動において新たな礎となります」。

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