「第18回shiseido art egg」展(資生堂ギャラリー)が開幕。第1期は大東忍の個展「不寝の夜」【3/3ページ】

 映像や写真の作品にも注目したい。灯りを人の在処や営み、そして祈りであるととらえる大東は、自身にそれを灯すことで夜の風景のなかに溶け込んだ。壁に投影された作品にはその姿と、風景の声を書き出した歌詞があわせて映し出されている。

展示風景より

 一見ドローイングのようにも見受けられるこれらの作品は、夜の風景のなかに灯りの粒を投げ込んだスナップショットだ。長い時間をかけて描いていく木炭画とは対照的ではあるものの、ざらざらとした紙にプリントされたこれらの写真は、木炭画特有の粗さや曖昧さとも呼応しているように感じられた。

展示風景より
展示風景より

 会場はぼんやりと薄暗く、そのなかにいくつものグレースケールの風景が立ち現れている。大東が描くその風景、そして絵をまじまじと見る鑑賞者たちの影もその絵の上に重なり、すべてが溶け込んでいくような空間となっていた。

編集部

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