映像や写真の作品にも注目したい。灯りを人の在処や営み、そして祈りであるととらえる大東は、自身にそれを灯すことで夜の風景のなかに溶け込んだ。壁に投影された作品にはその姿と、風景の声を書き出した歌詞があわせて映し出されている。

一見ドローイングのようにも見受けられるこれらの作品は、夜の風景のなかに灯りの粒を投げ込んだスナップショットだ。長い時間をかけて描いていく木炭画とは対照的ではあるものの、ざらざらとした紙にプリントされたこれらの写真は、木炭画特有の粗さや曖昧さとも呼応しているように感じられた。


会場はぼんやりと薄暗く、そのなかにいくつものグレースケールの風景が立ち現れている。大東が描くその風景、そして絵をまじまじと見る鑑賞者たちの影もその絵の上に重なり、すべてが溶け込んでいくような空間となっていた。