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「フェミニズムと映像表現」(東京国立近代美術館)追加レポート。ナンシー・ホルト、ロバート・スミッソン、出光真子による作品が新たに登場【4/4ページ】

共同制作におけるジェンダーロールを問う

 また、ナンシー・ホルトとロバート・スミッソンの共同制作による《湿地》は、カメラの目を通した知覚の限界を問う映像作品。同時に記録された撮影プロセスに、ジェンダーロールが表れているとも言える。カメラの狭い視界で藪に分け入り撮影するホルトに、背後から指示するスミッソンの声。これは筆者のうがった見方かもしれないが、空をフレームに入れようとするホルトが、見上げる方向に自分のスペースを求めているようにも感じられた。ちなみに「空」は、出光真子作品によく登場するモチーフでもある。

展示風景より、ナンシー・ホルト、ロバート・スミッソン《湿地》 撮影=筆者

 展覧会全体として、前会期から展示中の作品との呼応も楽しめる。ちなみに筆者は2002年、外苑前のトキ・アートスペースで開かれた出光真子展を鑑賞したことがある。会場にいた作家から、「母性とは最初から女性に備わっているものではなく、社会が与えたもの」だという作品解説や、会期中、年配男性に「子孫の繁栄を妨げる」などと怒鳴られたこともうかがった。先進の女性作家たちがリスクを背負いながらも道を切り開いてきたことに改めて感謝したい思いだ。鑑賞者には若い女性やカップルも目立ち、フェミニズムやその表現への関心がじわじわと感じられる。そのいっぽうで、現在の社会が本質的に大きく変わったとも言い難く、バックラッシュが危惧されるいまこそ見ておきたい展覧会だ。

編集部

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