EXHIBITIONS

フェミニズムズ / FEMINISMS

2021.10.16 - 2022.03.13

遠藤麻衣×百瀬文 Love Condition 2020

青木千絵 BODY 20-1 2020 画像提供=現代美術 艸居 撮影=今村裕司

碓井ゆい shadow of a coin 2013-2018 個人蔵 撮影=木暮伸也

遠藤麻衣 アイ・アム・ノット・フェミニスト! 2017/2021 ゲーテ・インスティトゥート東京にて森栄喜との結婚契約を作成 撮影=藤川琢史、小柳多央

風間サチコ 左は《肺の森-LUNGENWALD》、右は《肺の森-LINDENBAUM》(ともに2021)
作家蔵 Photo by TAKAHASHI Kenji ©︎ Sachiko Kazama, Courtesy of Tokyo Arts and Space

木村了子 Beauty of My Dish - 人魚達の宴図 2005 個人蔵

西山美なコ ♡ときめきエリカのテレポンクラブ♡ 1992 撮影=西村浩一

森栄喜 Untitled(「Family Regained」シリーズより) 2017 © Eiki Mori Courtesy of KEN NAKAHASHI

ユゥキユキ 「あなたのために、」 2020

 金沢21世紀美術館は特別展「フェミニズムズ / FEMINISMS」を開催。日本におけるフェミニズムの表現の一端を9組のアーティストの作品から紹介する。

 1990年代以降のフェミニズムは、欧米の若い女性たちを中心にポピュラー文化と結びつき、メディアを通して広がった。日本でも若い女性たちの活躍がメディアを通して紹介され、「ガール・ムーブメント」の様相を呈していたが、日本の場合、女性たちからのマニフェストという以上にムーブメントがメディアに利用され、女性たちを消費していった側面があったことは否めない。

 86年の男女雇用機会均等法、99年の男女共同参画社会基本法などの法律が整った後も、結婚や家族という制度、異性愛という社会的規範、女性らしさ男性らしさという通念など、個人と社会の狭間に行き場のない違和感があふれていた。しかし2020年代のいま、インターネットを介して異議を発する小さな声と声がつながり、社会が変わろうとし、女性のためだったフェミニズムが、社会に違和感を持つあらゆる人たちの力になろうとしている。

 本展は、近年、フェミニズムが複数形で語られ始めていることから「フェミニズムズ / FEMINISMS」をテーマに、90年代以降の日本の様々な美術表現を通じて、解釈の多様性を展観するもの。しなやかに変容し続ける現在進行形のフェミニズムの思考に着目し、そのとらえ方や解釈の多様性を同時代の美術表現からひも解く。

 出品作家は、青木千絵、碓井ゆい、遠藤麻衣、遠藤麻衣 × 百瀬文、風間サチコ、木村了子、西山美なコ、森栄喜、ユゥキユキ。9組は日本を主な活動拠点とし、鋭い観察眼と豊かな感性で90年代以降のアートシーンを牽引してきた現代アーティストたちだ。身体と内面の関係性や性差・性愛の本質を問う作品、個とそれを取り囲む社会に介在するジェンダーやアイデンティティのあり方を見つめ直す作品など多様な表現は、既成概念の解放や自由な心と身体への回帰に誘う。