マーケットに見る、女性アーティスト再評価の機運

サザビーズが3月6日に開催したセールにおいて、女性作家による作品が存在感を示した。総出品数70点のうち2割となる14点を女性作家が占め、レコードを記録した作家も多い。サザビーズ・ロンドンのコンテンポラリーアート部門シニアスペシャリストであるエマ・ベーカーへの取材を通じ、女性アーティストへの再評価の機運を探る。

文=長谷川香苗

オークション中のフランソワーズ・ジロー《Portrait de Geneviève avec un collier de colombes》(1944)Photo credit: Haydon Perrior, courtesy Sotheby’s

高まる「NOW」ではない女性アーティストへの関心

 去る3月6日、オークションハウスのサザビーズが一年でもっとも力を入れ、高額作品が出揃うセールスのひとつ、近現代アートを扱うイブニングセールが開催された。落札された70点のうち、女性現代アーティストたちの作品は14点。全数の2割とはいえ、アーティストにとっての最高額で落札された作品が多く、改めて女性の現代アーティスト作品に対する商業的価値の高まりを印象づけるものとなった。

 とりわけて昨年101歳で亡くなったフランスのフランソワーズ・ジロー(1921〜2013)の作品は予想落札価格を4倍上回る72万3900英ポンド(約1億3837万円)で落札、2021年に96歳で亡くなったレバノンのエテル・アドナン(1925-2021)の作品は44万4500英ポンド(約8496 万円)、草間彌生(1929-)の作品は162万1000英ポンド(約3億984万円)で落札されるなど、数世代前の女性アーティストたちの作品に破格の値段が付いた。

 こうした動きについて、英国サザビーズのコンテンポラリーアート部門シニアスペシャリストで、コンテンポラリーアートのイブニングセールのヘッドを務めるエマ・ベーカーは次のように分析する。

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