文化人類学とアート表現の接点を探るイベント「アンソロ×アート高円寺2026 ―文化人類学の表現を考える9日間―」が、6月13日〜21日に東京・高円寺の高架下空き倉庫で開催される。
主催は一般社団法人日本文化人類学会。近年、文化人類学では民族誌や論文といったテキスト中心の成果発表にとどまらず、映画、写真、身体表現、インスタレーション、ワークショップなど、多様な形式による実践が広がっている。本イベントでは、そうした動向を「感じることから、新しい見方を探る9日間」として位置づけ、専門家だけでなく一般来場者にも開かれた場として展開する。

会期中は複数の展示が行われる。野口靖と椎野若菜による「住処と尊厳の再建」では、ナイロビのムクル・スラムにおける強制撤去とその後の生活再建を、360度パノラマ写真とインタビューを用いたバーチャルツアー形式で紹介。来場者は住居空間を探索しながら、住民たちの語りに触れることができる。
また、シェレンバウム・ゾエ・セランによる「珊瑚ゲーム」では、ウベア島で採集したサンゴを用い、参加者がそのかたちから言葉や詩を紡ぐ作品を展開。偶然性を介しながら、場所の記憶や風景との見えないつながりを呼び起こす。

西尾美也、柳沢英輔、藤田瑞穂による「わたしたちのまとうもの―装い、音、環境をめぐる考察と実践―」では、これまでのワークショップや展示の記録に加え、共同作品《迷彩の滝行》を展示。衣服を介して環境音や身体感覚を再構成し、装いと都市環境の関係を問い直す。
さらに森昭子による「交換としての看板絵 ―ガーナと日本のあいだで―」では、ガーナの看板工房での師弟関係から生まれた作品を通じて、個人と国家、歴史と現在が交差するなかでのアイデンティティの交換を視覚化。緒方しらべは、ナイジェリアの若手アーティスト、アデモラ・オジョの絵画作品とともに、地域社会と現代美術市場を文化人類学的視点から読み解く展示を行う。

トークやワークショップも多数予定されている。6月14日には、「素人の乱」店主で『世界マヌケ反乱の手引書』でも知られる松本哉、小森真樹、松村圭一郎によるトークセッション「高円寺で人類学を展示する!?」を開催。再開発が進む高円寺という場所で、人類学を「展示」する意味について議論する。
そのほか、バリ島の仮面劇「トペン」を題材にした参加型ワークショップや、ルワンダと高円寺をオンラインで接続するパフォーマンス形式の対話企画、ガーナやナイジェリアをめぐる民族誌的実践についてのトーク、詩の朗読とDJによるサウンドシネマなど、多様なプログラムが予定されている。
文化人類学を「読む」だけでなく、身体や感覚を通して体験する場として企画された本イベント。高円寺という都市空間を舞台に、学問と芸術、フィールドワークと表現の新たな接点を探る機会となりそうだ。
























