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EXHIBITIONS

ぎこちない会話への対応策—第三波フェミニズムの視点で

2021.10.16 - 2022.03.13

潘逸舟 無題 2006 作家蔵 ©︎ Ishu Han Courtesy of ANOMALY

岩根愛 My Cherry 2020 作家蔵 ©︎ Ai Iwane

木村友紀 存在の隠れ家 1993/2021 ©︎ Yuki Kimura Courtesy of Taka Ishi Gallery

小林耕平 殺・人・兵・器 2012 作家蔵 ©︎ Kohei Kobayashi Courtesy of ANOMALY

さとうりさ メダムK 2011 作家蔵 ©︎ Risa Sato

ミヨ・スティーブンス-ガンダーラ GAMAN 2018 作家蔵 ©︎ Miyo Stevens-Gandara

長島有里枝 Self-Portrait(Brother #32A)From the series Self-Portrait 1993 作家蔵 ©︎ Yurie Nagashima

藤岡亜弥 私は眠らない 2009 作家蔵 ©︎ Aya Fujioka

ミヤギフトシ 1970 and Other Works 2007-2016 個人蔵 Photo by TAKAHASHI Kenji

渡邊豪 まぜこぜの山 2016 作家蔵 ©︎ Go Watanabe Courtesy of ANOMALY

 金沢21世紀美術館は特別展「ぎこちない会話への対応策—第三波フェミニズムの視点で」を開催する。本展は、ゲストキュレーターにアーティスト・長島有里枝を迎え、1990年代以降に活動を始めた10作家の作品について、フェミニズムの視点から新たな解釈可能性を見出す試み。

 長島有里枝は1973年東京都生まれ。93年のデビュー以来、自身を含む同世代の女性写真家をくくった「女の子写真」というカテゴリーに疑問を持ちながら、作品制作と執筆活動を続けてきた。80年代のメディアが喧伝した揶揄的なフェミニスト像に違和感を持っていた若い長島は、「フェミニスト」と自称することを避けつつも、つねに男性中心主義的な価値観への問題提起を作品にしてきた。

 当時の若者のフェミニズム的実践を見えにくくしたそのような態度は、日本における第三波フェミニズムのひとつのあり方であったと考える長島は、「運動」や「連帯」のかたちを取ってこなかった作家たちの作品にもその要素が見出せるのではないかと言う。このような考察に基づき、長島が9名の作家との対話を経て選んだ作品を紹介する。出展作家は、岩根愛、木村友紀、小林耕平、さとうりさ、ミヨ・スティーブンス-ガンダーラ、潘逸舟、藤岡亜弥、ミヤギフトシ、渡辺豪、長島有里枝。

 それぞれの表現メディアは写真、立体、映像、インスタレーションなど多岐にわたる。今回キュレーターの長島は、作家自身がフェミニストを自認しているか、またフェミニズムについて顕在的に作品化しているかどうかにかかわらず、フェミニズムに親和的であると解釈可能な作品を制作してきた作家に参加を依頼した。長島が作家たちと深い対話を重ねて選び抜いた作品群は、ジェンダーだけでなく、家族、アイデンティティ、エスニシティ、社会規範、伝統的価値観や慣習など、フェミニズムの概念と密接な関わりのある複雑で多様な要素を、各々の作品背景としている。

 目の前の状況に対応するために生み出される10名の様々な実践を、バリエーションに富む作品のなかに見出す機会となってほしい。