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特別展「星の瞬間 アーティストとミュージアムが読み直す、Hokkaido」(北海道立近代美術館)会場レポート。北海道美術の重層を示す【6/6ページ】

 最後に紹介したいのは、言葉の多面性を立体や映像で考察し続けている高橋喜代史の《わたし山》(2024)だ。高橋は北海道を拠点に独自の抽象表現を確立した作家・花田和治(1946〜2017)を取り上げた。花田の《手稲山》と《水辺にて》の「シンプルで力強い構図と配色」に惹かれたという高橋。この言語化できなに魅力に、言語でなんとか近づこうとする試みが、観客が思い思いに過ごせる空間として結実している。

展示風景より、両端が花田和治《水辺にて》(2004-05)と《手稲山》(1988)、中央が高橋喜代史《わたし山》(2024)

 本稿で紹介した以外にも、様々な学芸員とアーティストが北海道の美術を改めて見直す展示を行っている。現代美術とコレクション、アーティストと学芸員と、それぞれの視座が混ざり合い、一見するとまとまりに欠ける展覧会と評する向きもあるかもしれない。しかしそれは、北海道の美術にこれほどの多様な観点が存在し、それらを探求し広げていくことができる可能性の証左とも言えるだろう。本展の成果から、同館の研究者と北海道ゆかりのアーティストたちがさらなる展開をどのように見せてくれるのか。来場者の期待が高まる展覧会だ。

編集部

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