令和6年度芸術選奨が発表。美術部門大臣賞に石田尚志、塩田千春、開発好明、金築浩史

文化庁が令和6年度(第75回)の芸術選奨受賞者を発表。美術部門では文部科学大臣賞に石田尚志、塩田千春、開発好明、金築浩史の4名が選ばれた。

「塩田千春 つながる私(アイ)」展の展示風景より、《つながる輪》(2024)

 演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術A、美術B、メディア芸術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論の12部門において、優れた業績を上げた人物に対して贈られる令和6年度(第75回)芸術選奨。その受賞者が発表された。文部科学大臣賞は24名、新人賞は22名と2組。

 美術分野における表現方法の多様化に伴い、昨年度から美術部門は映像、メディア・アート、その他新傾向の作家を対象に加えるかたちで美術A・美術B部門に区分され、受賞者が増加。今年、美術Aでは、石田尚志塩田千春が、美術Bでは開発好明と金築浩史が大臣賞に選出された。

 身体的な行為の痕跡としてのドローイングで知られる石田は、神奈川県立近代美術館 葉山で「石田尚志 絵と窓の間」展(2024年7月13日~9月28日)を開催し、「絵画と映像、物質とイメージ、空間と光の関係をめぐる40年に及ぶ考察と実践を、展示空間において鮮やかに示した意義」が評価。また、塩田は大阪中之島美術館で行われた大規模個展「塩田千春 つながる私(アイ)」(2024年9月14日〜12月1日)において、「作家としての充実度の高さを示す内容」が選出につながった。

「開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ」展の展示風景より

 美術Bの開発好明は、東京都現代美術館で「開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ」展(2024年8月3日~11月10日)を開催。本展においては、「過去記録に加え、現在進行形の作家活動を展開、鑑賞者が自(おの)ずと参加者へ、さらに行為者となっていく構造を創出した」ことが評価。また金築は、「札幌国際芸術祭2024」などにおけるエンジニアリングの成果が認められ、「作品の魅力を最大限に引き出す役割を果たした」と評価された。

 なお美術Aでは青山悟(「青山悟 刺繍少年フォーエバー」展ほかの成果)と笹井史恵(笹井史恵 漆芸展「風様ふわり、忽ちに雷様」ほかの成果)が、美術Bでは金仁淑(「Eye to Eye」ほかの成果)とNerhol(田中義久と飯田竜太/「水平線を捲る」展ほかの成果)がそれぞれ新人賞に選ばれている。

 またメディア芸術部門では、マンガ家の青山剛昌とゲームクリエイターの桜井政博がそれぞれ大臣賞を受賞。芸術振興部門では指揮者の広上淳一、横浜国際舞台芸術ミーティングディレクターの丸岡ひろみが大臣賞となった。今年の受賞者には賞状と、大臣賞には120万円、新人賞には80万円の賞金が贈られる。

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