令和元年度芸術選奨、大臣賞にイケムラレイコ、池田亮司ら。新人賞には宮永愛子、高山明など

文化庁は令和元年度(第70回)の芸術選奨受賞者を発表。美術関係者では、イケムラレイコや池田亮司が大臣賞に選ばれた。

イケムラレイコ

 美術、音楽、演劇映画など芸術11部門において優れた業績を上げた、または新生面を開いた人物に対して贈られる令和元年度(第70回)芸術選奨の受賞者が発表された。文部科学大臣賞は19名、文部科学大臣新人賞は11名。

 美術関係では、イケムラレイコが「美術」部門大臣賞に選出。同新人賞には宮永愛子が選ばれた。また「メディア芸術」部門では、池田亮司が大臣賞を、「芸術振興」部門では高山明が新人賞を受賞した。

 イケムラについては「その内省的な作品の持つ、曖昧な雰囲気の中の強靱なイメー ジは、今日の閉塞感を突き破る、現代社会への提言となって秀逸」と評価。「近年の大型風景画に至る、作品群を総括した国立新美術館での大規模な個展は、真摯な姿勢で取り組んできた、多彩な創作活動の到達を示した」としている。

 イケムラは三重県出身。1970年代にスペインで美術を学び、その後スイスを経て、80年代前半から現在まで、ドイツを拠点に本格的にアーティスト活動を行っている。2019年には、それまで手がけてきたすべてメディアを網羅した約210点の作品を展示する大規模個展「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」を東京・六本木の国立新美術館で開催した

「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」展示風景より、《うさぎ観音Ⅱ》(2013/14)

 また池田については、2018年にパリのポンピドゥ ー・センターで行われた個展「continuum」などを評価。また、メンバーとして参加しているダムタイプの東京都現代美術館での大規模個展や、パリ・オペラ座での杉本博司との共演などが、「デジタル時代の先駆的な創造性を多領域へと開く役割も担っている」とされた。

「continuum」より、《A [continuum]》の展示風景

 また新人賞では、宮永は個展「漕法」や瀬戸内国際芸術祭での「ヘアサロン壽」が、高山は「あいちトリエンナーレ2019」の際に立ち上げた「Jアートコールセンター」などが贈賞につながった。

 「美術」部門の選考審査員は、笠原美智子(公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館副館長)、片岡真実(森美術館館長)、福田美蘭(画家)ら9名が担当。

 「メディア芸術」部門選考審査員は、岡部あおみ(パリ日本文化会館展示部門アーティスティックディレクター、美術評論家)、しりあがり寿(漫画家)ら7名、「芸術振興」部門選考審査員は熊倉純子(東京藝術大学教授)、島敦彦(金沢21世紀美術館館長)ら7名が務めた。

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