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「塩田千春 つながる私(アイ)」展(大阪中之島美術館)開幕レポート。伝えるのは多様な「つながり」のかたち

大阪中之島美術館で、塩田千春の大規模個展「塩田千春 つながる私(アイ)」がスタートした。コロナ禍を経て改めて多様な「つながり」をテーマに据え、大規模なインスタレーションや映像、タブロー、ドローイングなどが並ぶ。

文・撮影=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、《インターナルライン》(2022/2024)

 大阪出身で現在ベルリンを拠点に国際的に活動しているアーティスト、塩田千春。その大規模個展「塩田千春 つながる私(アイ)」が大阪中之島美術館で始まった。会期は12月1日まで。

 本展は、塩田にとって出身地・大阪での16年ぶりとなる大規模個展であり、巡回なしの開催となる。タイトル「つながる私(アイ)」について、塩田は開幕前の記者会見で「コロナ禍を強く意識した」と明かしつつ、次のように話した。

 「コロナ禍では、距離を保ち、つながってはいけないという状況で、1.5メートルの距離をとって接することが求められていた。そのなかで私が感じた『人とつながる』というテーマを軸に、『つながる私(アイ)』として作品を制作した」。

塩田千春

「私(アイ)」について本展の担当学芸員・國井綾(大阪中之島美術館 主任学芸員)は、「私(I)」「目(Eye)」「愛(Love)」の3つの意味が込められているとし、「自身を通じて、目を通じて、愛を通じて、私たちは様々な人やものとつながっているということを伝える展覧会だ」と説明した。

 本展では、塩田の大規模なインスタレーション6点とともに、映像作品やタブロー、立体、ドローイング、そして小説家・多和田葉子が新聞で連載している『研修生(プラクティカンティン)』のために描いた268点の挿絵が展示。挿絵の作品は会期中にも増えていき、最終的には361点を展示する予定となっている。

 展覧会は、赤いドレスと糸で構成されるインスタレーション《インターナルライン》(2022/2024)から始まる。ナチス政権下のエーベンゼー強制収容所(オーストリア)に収容されていた囚人と、彼にパンをあげた女性職員が終戦後に再会して結婚したというエピソードに基づいてつくられたこの作品は、「つながるアイ」の「愛」というテーマをもっとも象徴したものだ。

展示風景より、《インターナルライン》(2022/2024)
展示風景より、《インターナルライン》(2022/2024)

編集部

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