演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術A、美術B、メディア芸術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論の12部門において、優れた業績を上げた人物に対して贈られる令和5年度(第74回)芸術選奨。その受賞者が発表された。文部科学大臣賞は23名と1組、新人賞は23名。
美術分野における表現方法の多様化に伴い、今年度から美術部門は映像、メディア・アート、その他新傾向の作家を対象に加えるかたちで美術A・美術B部門に区分され、受賞者が増えた。この結果、美術Aでは、蔡國強と須藤玲子が、美術Bでは石川真生と宮本佳明が大臣賞に選出された。
蔡國強は、1991年に東京で行った個展「原初火球—The Project for Projects」を起点に、その約30年にわたる芸術的な展開をたどる展覧会「蔡國強 宇宙遊 一〈原初火球〉から始まる」展を国立新美術館で開催したことが評価。また須藤は、2019年に香港のCHATに始まった個展「須藤玲子:NUNOの布づくり」展などの成果が選出につながった。
美術Bの石川は、2023年に東京では初となる大規模個展「石川真生 私に何ができるか」を東京オペラシティ アートギャラリーで開催。大作シリーズ「大琉球写真絵巻」に取り組み、闘病中であっても「私に何ができるか」を実践し続けていることも評価された。また宮本は宝塚市立文化芸術センターでの「入るかな?はみ出ちゃった。~宮本佳明 建築団地」の成果が認められたかたちだ。
なお美術Aでは安藤正子(「安藤正子展 ゆくかは」ほかの成果)と大巻伸嗣(「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」展ほかの成果)が、美術Bでは梅田哲也(「wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」ほかの成果)と西澤徹夫(「偶然は用意のあるところに」展の成果)がそれぞれ新人賞に選ばれている。
またメディア芸術部門ではマンガ家の井上雄彦と田村由美がそれぞれ大臣賞を受賞。芸術振興部門では「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」を創設したルシール・レイボズと仲西祐介、民間文化施設「犀の角」代表の荒井洋文が大大臣賞となった。
なお今年度より、原則1名以内となっていた一部部門の文部科学大臣賞および全部門における文部科学大臣新人賞の贈賞件数が原則2名以内に増員。また賞金も大臣賞が30万円から120万円に、新人賞が20万円から80万円に引き上げられた。