2019.5.11

没入型のインスタレーションから写真の「VIBE」まで。今週末に見たい3つの展覧会

5月12日までに終了する展覧会と連休前にスタートした展覧会のなかから、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。この機会をお見逃しなく。

ヘスス・ラファエル・ソト PENETRABLE BBL BLEU 1999(ed.Avila 2007) PVC(ポリ塩化ビニル)、金属 © Adagp, Paris 2018.
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空間に触れる体験。「ヘスス・ラファエル・ソト Pénétrable BBL Bleu」(エスパス ルイ・ヴィトン東京

ヘスス・ラファエル・ソト PENETRABLE BBL BLEU 1999(ed.Avila 2007) PVC(ポリ塩化ビニル)、金属 © Adagp, Paris 2018.

 まずはじめに紹介するのは、エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中の、ヘスス・ラファエル・ソトによる個展「Pénétrable BBL Bleu」だ。

 ソトは1923年、ベネズエラ出身。60年代後半から知覚を揺さぶる錯覚性を持つ作品群を制作し、キネティック・アートを牽引する作家として知られるようになる。その作品には、純粋な抽象性や色彩理論、そして背景と前景とのあいだに働く力が一貫して表現されている。

 本展ではソトの代表的なシリーズから、壮大なインスタレーション作品《Pénétrable BBL Bleu》(1999)を展示。遠目にはひとつの色面に見えるインスタレーションは、実際にそのなかに入ることが可能となっている。美しい青をかき分けながら「空間に触れる」ことのできる同作を、ぜひ体験してほしい。

会期:2018年12月7日〜2019年5月12日
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F
電話番号:0120-00-1854
開館時間:12:00〜20:00
料金:無料
休館日:ルイ・ヴィトン表参道店に準ずる
 

「VIBE」を感じる写真の祭典。「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2019」(京都市内各所)

金氏徹平「S.F.(Splash Factory)」会場風景

 京都では市内の各所を舞台に、今年で7回目となる「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が開催中だ。今年のテーマは、目に見えないものがつながるときに生まれる共振や共鳴=「VIBE」。

 本写真祭には、家族写真をテーマとした作品を発表するヴェロニカ・ゲンシツカや、京都新聞ビルの印刷工場跡を舞台にインスタレーションを展開する金氏徹平など、国内外のアーティストが集結。また、振付師のベンジャミン・ミルピエによる世界初個展や、「ピエール・セルネ&春画」展も見ることができる。

 そのほかにもサテライトイベントとして、公募型プログラム「KG+」などが開催中。こちらもあわせてチェックしたい。

会期:2019年4月13日~5月12日
会場:京都市内各所
電話番号:075-708-7108(KYOTOGRAPHIE 事務局)
パスポート料金:一般 4000円 / 学生 3000円
1DAYパスポート料金:一般 3000円 / 学生 2000円
 

作家たちの大作を見るチャンス。「特別展示 名和晃平 Foam」「大岩オスカール 光をめざす旅」(金沢21世紀美術館

「大岩オスカール 光をめざす旅」会場風景より、中央は《見えない海》(2010)

 そして金沢21世紀美術館では、名和晃平《Foam》の特別展示と、画家・大岩オスカールによる大規模個展が同時開催中だ。

 名和による作品《Foam》は、パリでの展示を経てさらにブラッシュアップ。同作は巨大な展示室ひとつを使い、青い光のなかに展示される。人より大きくそびえ立つ泡の彫刻に囲まれることで、非日常的な体験ができるだろう。

 また大岩の個展「光をめざす旅」には、生活者としての視点を持ちながら、都市や社会を俯瞰してきた近作60点が一同に会する。なかでも注目したいのは、美術館の壁に直接描かれた巨大なドローイング《森》。全長27メートルにおよび、1枚絵としては過去最大となる。大岩が「絵を楽しむ」ことに本気で挑んだという同作をお見逃しなく。

会期:2019年4月27日~8月25日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金土〜20:00)※チケット販売は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし7月15日、8月12日は開場)、7月16日
料金:「特別展示 名和晃平 Foam」無料
「大岩オスカール 光をめざす旅」一般 1200円 / 65歳以上 1000円 / 大学生 800円 / 小学・中学・高校生 400円