EXHIBITIONS

ミロ展

2025.03.01 - 07.06
 東京都美術館で「ミロ展」が開催される。

 ジュアン・ミロは、1893年バルセロナ生まれ。1910年に会計の仕事に就いたものの病気になり、カタルーニャ州南部のモンロッチで療養した後、画家としての道を歩みはじめる。20年にパリに出ると、25年から「夢の絵画」と呼ばれる作品群を描くなど、シュルレアリスムの画家として名声を得た。

 28年頃になると、伝統的な絵画の枠組みを超えた現代的な表現を試み、様々な技法、支持体をもちいて制作するようになる。スペイン内戦と第二次世界大戦により、アトリエを転々としながら制作をつづけたミロは、戦後アメリカで高く評価され、世界中で個展が開かれるなど巨匠としての地位を確立した。

 ミロの作品には、潜在意識や「子供のような精神」そして故郷への愛着が反映されている。しかしそれだけではなく周囲の政治的・社会的状況への強い感受性と反骨精神が創作の原動力にもなっていた。90歳で亡くなるまで、新たな表現を試み続けたミロは、特定の運動に属することのない純粋で普遍的な芸術を追求し、20世紀でもっとも影響力のある芸術家のひとりに数えられている。

 本展は「星座」シリーズをはじめ、初期から晩年までの各時代を彩る絵画や陶芸、彫刻により、90歳まで新しい表現へ挑戦し続けたミロの芸術を包括的に紹介する。世界中から集った選りすぐりの傑作の数々により、ミロの芸術の真髄を体感できる大回顧展となるだろう。