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フェルメール、強し。2019年上半期 展覧会入場者数 TOP10

2019年上半期の美術館展覧会を数字で回顧。日本全国の美術館・博物館で行われた展覧会のなかから、入場者数TOP10を紹介する。(※対象展覧会は2019年1月1日〜6月30日の期間に開催されたもので、2018年から会期がまたいでいるものも含む。7月9日時点で回答がなかったもの、ウェブサイト公開不可のもの、入場者数を公表していないものは含まない)

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AIはアートの未来を変えるのか? 「アート+テックサミット」で語られたこと

6月25日、ニューヨークのクリスティーズで2回目となる「アート+テックサミット」が開催された。昨年の「ブロックチェーン」に続いて、今回のテーマに選ばれたのは、「AI(人工知能)」。各界から26のスピーカーが参加し、AI技術の最新状況や、アート界におけるAIの活用方法を紹介した。その様子をレポートする。

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東大が「芸術」を求める理由。「東京大学芸術創造連携研究機構」はなぜ誕生したのか?

日本の最高学府である東京大学が今年の5月、「東京大学芸術創造連携研究機構」を発足させた。これは、総合文化研究科を責任部局に、学内の7部局が連携し、芸術創造に関する分野融合型の研究を推進するというプロジェクトだ。なぜいま、東大が芸術にフォーカスするのか? その理由について、同機構で副機構長を務める加治屋健司に話を聞いた。

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いまこそキュレーターの給与を考えよう。衝撃のデータがウェブ上で公開

5月31日、フィラデルフィア美術館のキュレーターがインターネット上で「Arts + All Museums Salary Transparency 2019」と題されたGoogleスプレッドシートを公開した。このファイルに含まれているのは、主要美術館やギャラリーなどをはじめとする、美術業界で働く人たちが自己申告したリアルな給与情報。ファイルの存在は、瞬く間に業界内に知れ渡った。アート界に大きな衝撃を与える「給与の透明化」への動き。その背景と、データから見えてくるものとは?

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パラドックスのパロディ。布施琳太郎評「生きられた庭」展

京都府立植物園で1週間限定で開催されたガイドツアー形式の展覧会「生きられた庭」。作家7名による「庭」での展示を、キュレーターが毎回異なるツアーで観客を案内し、ウェブ上ではそのドキュメンテーションを行った。「ナビゲーション」と「ドキュメンテーション」を介した本展の試みを、第16回芸術評論募集佳作作品「新しい孤独」の筆者がレビューする。

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チームラボの個展を通じて考える「美術館の存在意義」。姫路市立美術館の挑戦

姫路市立美術館の「世界は暗闇からはじまるが、それでもやさしくうつくしい」が好調だ。来場者数は10万人を突破し、閉幕を前に開館以来最高となる数字を記録している。なぜ同館はリニューアル開館のこけら落としとして、チームラボの個展を選んだのか? そこに込められた地方美術館の思いを、同館副館長兼学芸課長の不動美里に聞いた。

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アニメーションを時間的経験から読み解く。仲山ひふみ評『スパイダーマン:スパイダーバース』

マーベル・コミックのマンガを原作とする「スパイダーマン」シリーズの最新映画『スパイダーマン:スパイダーバース』。同シリーズ初のアニメ作品であり、アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞するなど国内外で話題となった本作を、若手批評家の仲山ひふみがレビューする。

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「霧の彫刻」から、山口晃が描く親鸞まで。6月号新着ブックリスト(2)

雑誌『美術手帖』の「BOOK」コーナーでは、新着のアート&カルチャー本の中から毎月、注目の図録やエッセイ、写真集など、様々な書籍を紹介。第2弾では、昨年開催された「霧の抵抗 中谷芙二子展」 (水戸芸術館現代美術ギャラリー)のカタログから、山口晃による小説『親鸞』(五木寛之著)の挿画集まで、『美術手帖』6月号に掲載された注目の新刊を3冊紹介する。

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クリムトとウィーン分離派。「新しい芸術」を目指した「戦い」の軌跡をたどる

グスタフ・クリムトが「分離派」を結成した1897年。それはクリムトが「クリムト」となる道の始まりだった。絢爛たる「黄金様式」や私生活における女性たちとのエピソードから、クリムトには華やかなイメージがある。しかし、「自分ならではの様式」を求めていく道は、同時に保守的なウィーン美術界との「戦い」の道でもあった。本稿では、クリムトのキャリアのうち「ウィーン分離派」時代に焦点を当て、「クリムト展」そして「ウィーン・モダン」展の展示作品とともに、彼の「戦い」の軌跡をたどる。

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ポロックから福沢一郎まで。6月号新着ブックリスト(1)

雑誌『美術手帖』の「BOOK」コーナーでは、新着のアート&カルチャー本の中から毎月、注目の図録やエッセイ、写真集など、様々な書籍を紹介。第1弾では、ジャクソン・ポロックの形象性や装飾性に注目した作品論から、今年東京国立近代美術館で回顧展が開催された画家・福沢一郎の著書を読み解く論考集まで、『美術手帖』6月号に掲載された注目の新刊を3冊ずつ紹介する。

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美術館の社会的責任とは何か? ナン・ゴールディンら参加のパネルディスカッションで語られたこと

5月30日、ニューヨークにあるニュー・スクールで「How soon is Now: Art, Activism, and Accountability」と題されたパネル・ディスカッションが開催された。ここで以前、美術手帖でも触れた「オピオイド危機とサックラー一族」や「出産を理由に内定を取り消したPS1」の問題に加え、いま論争を呼んでいる「ホイットニー美術館の役員の退任要求」について意見が交わされた。その様子をレポートする。

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屋根裏の絵はカラヴァッジョ? 予想落札価格180億円の理由を探る

2014年にフランス・トゥールーズにある民家の屋根裏で、カラヴァッジョ作とされる《ユディトとホロフェルネス》が見つかった。「歴史的発見」とも称されるこの作品は、6月27日に同地でオークションに出品される。それに先駆け各国を巡回中の本作の、ニューヨークでの展示を取材してきた。

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BOOKOFFの洋書棚にみる現代のアジール:「路上観察学会」を手がかりとして

第16回芸術評論募集次席作品「インターネット民芸の盛衰史」の筆者、ウールズィー・ジェレミーによるレビュー。赤瀬川原平らが設立した「路上観察学会」の思想をたよりに、全国にチェーン展開する大型古本店「BOOKOFF」の洋書コーナーから現代社会における自由を見出す。

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全盲の映画監督が「夜の海」で立てる潮騒。 飯岡陸評『ナイトクルージング』

先天性の全盲であるミュージシャン・加藤秀幸の映画制作を追うドキュメンタリー『ナイトクルージング』が、全国順次公開されている。本作の監督を務めた佐々木誠は、視覚障害者と晴眼者が一緒に映画をつくることの暗喩として『ナイトクルージング』というタイトルをつけたという。様々な道具を駆使しながら、加藤とともに映像の手触りを獲得することを試みた同作を、キュレーターの飯岡陸がレビューする。

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クリムトはどのようにして「美の探究者」となったのか? 女性像を通してたどる、スタイルの変遷

「美しい」だけではない。ときに何か恐ろしいもの、見てはいけないものを内包しており、それゆえにいっそう輝きを増し、見る者の目を釘付けにする──そのような不思議な力を持つクリムトの作品。代表作《ユディトI》をはじめ、金箔をふんだんに用いた「黄金様式」の作品群は、どのようにしてクリムトの代名詞的存在となったのか。東京都美術館「クリムト展」の展示作品から、クリムトが生涯にわたって描き続けたモチーフである「女性像」を取り上げ、スタイルの変遷を追う。

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