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時代遅れから脱出を。「Cuseum」のITソリューションは美術館をどう変える?

アメリカ・ボストンに、美術館や博物館など文化施設に特化したITソリューション提供を行う「Cuseum」という会社がある。文化施設の「エンゲージメント」をサポートする同社の製品は、すでに国内外100以上の文化施設で利用されている。Cuseumの提供するサービス、そして「エンゲージメント」とは? Cuseum創立者のブレンダン・シエコに話を聞いた。

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ジャンルを超えるマンガの極北、梶本レイカを読む(2)川口晴美評

梶本レイカは鬼才のマンガ家である。男性同士の性愛とロマンスや、実在の事件をもとにしたサスペンス、さらにホラー、ノワール、ヤクザものといった様々な要素を内包しながら、独自の表現へと昇華する。 BLレーベルから『高3限定』『コオリオニ』などのコミックス刊行を経て、2016年より青年誌『ゴーゴーバンチ』で『悪魔を憐れむ歌』の連載を開始。クライムサスペンスである本作は、帯の推薦文を映画評論家の町山智浩やライムスター・宇多丸、暴力団関連の著作で知られるライターの鈴木智彦が担当するなど、多方面で熱い支持を得ている。暴力が物語をドライブさせ、社会のはみ出し者が跋扈するなか、圧倒的な筆致で描かれる「痛み」と「救済」。過激な表現を使いながら人間同士の関係性にフォーカスする梶本作品には、現代社会に寄る辺なさを覚える読者を、せめてマンガの世界で抱きとめるようとするかのような誠実な手つきが宿る。 そんな梶本レイカの作品世界に迫る、2本の論考をお届けする本企画。今回はサブカルチャーにも造詣が深い詩人の川口晴美が、BLというジャンルを生かして表現された『コオリオニ』における、主人公たちの関係性のあり方を論じる。

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ジャンルを超えるマンガの極北、梶本レイカを読む(1)岩下朋世評

梶本レイカは鬼才のマンガ家である。男性同士の性愛とロマンスや、実在の事件をもとにしたサスペンス、さらにホラー、ノワール、ヤクザものといった様々な要素を内包しながら、独自の表現へと昇華する。 BLレーベルから『高3限定』『コオリオニ』などのコミックス刊行を経て、2016年より青年誌『ゴーゴーバンチ』で『悪魔を憐れむ歌』の連載を開始。クライムサスペンスである本作は、各巻の帯の推薦文を映画評論家の町山智浩やライムスター・宇多丸、暴力団関連の著作で知られるライターの鈴木智彦が担当するなど、多方面で熱い支持を得ている。暴力が物語をドライブさせ、社会のはみ出し者が跋扈するなか、圧倒的な筆致で描かれる「痛み」と「救済」。過激な表現を使いながら人間同士の関係性にフォーカスする梶本作品には、現代社会に寄る辺なさを覚える読者を、せめてマンガの世界で抱きとめるようとするかのような誠実な手つきが宿る。 そんな梶本レイカの作品世界に迫る、2本の論考をお届けする本企画。まずはマンガ研究者である岩下朋世が、「リバ」というキーワードや「顔」の描かれ方の多面性から、作品の構造とその特異性を論じる。

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哲学者によるオーディオ・エッセイに見る「怪奇」の概念 仲山ひふみ評 マーク・フィッシャー&ジャスティン・バートン 『消滅する大地について』

加速主義の哲学者・批評家、マーク・フィッシャーが、哲学者のジャスティン・バートンとともに晩年に取り組んだ、テクスト読み上げと音響コラージュによる作品『消滅する大地について』。この夏、レーベル「Hyperdub」より発売された本作を、若手批評家の仲山ひふみが論じる。

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私たちは何を学べるのか? 小田原のどか評「表現の不自由展・その後」

「あいちトリエンナーレ2019」の一企画であり、8月3日に展示が中止された「表現の不自由展・その後」。この展示中止をめぐっては、「検閲」「表現の自由」「キュレーション」など様々な角度から議論が巻き起こっている。この企画を、「あいちトリエンナーレ2019」参加作家でもある小田原のどかが「表現の不自由展・その後」の全17の出品作にも目を向けながら分析する。

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トグサとハラウェイ検屍官は、その人形に何を見るか? 逆卷しとね評 菅実花「The Ghost in the Doll」展

ラブドールを妊婦姿で撮影したアートプロジェクト「Do Lovedolls Dream of Babies?(ラブドールは胎児の夢を見るか?)」(2014〜)で注目を集めた菅実花の個展が、原爆の図 丸木美術館で開催された。本展では、19世紀のヨーロッパで流行した、故人を湿板写真で記録する「死後記念写真」の手法を用い、等身大の精巧な乳児人形「リボーンドール」を撮影した新作《Pre-alive Photography》を中心に発表。 本稿では、気鋭のダナ・ハラウェイ研究者が、押井守監督の映画『イノセンス』に登場するトグサとハラウェイ検屍官の対話のかたちをとり、本展における生命とゴーストの謎に迫る。

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夏休みは美術館へ! ドラえもんから絵本ミュージアムまで、注目の展覧会をピックアップ【大人も子供も楽しめる編(2)】

夏休みはアウトドアや芸術祭だけではなく、美術館へ展覧会を見に行くのも楽しみのひとつ。日本各地で開催されている展覧会のなかから、編集部が注目する展覧会を地域ごとにピックアップ! 第5弾は子供も大人も一緒に楽しめる展覧会に注目し、首都圏以外の展覧会を紹介する。

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夏休みは美術館へ! 恐竜から「あそびのじかん」まで、注目の展覧会をピックアップ【大人も子供も楽しめる編(1)】

夏休みはアウトドアや芸術祭だけではなく、涼しい美術館へ展覧会を見に行くのも楽しみのひとつ。日本各地で開催されている展覧会のなかから、編集部注目の展覧会を地域ごとにピックアップ! 第4弾は子供も大人も一緒に楽しめる展覧会に注目し、首都圏の展覧会を紹介する。

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2つの原爆資料館、その「展示」が伝えるもの。小田原のどか評「広島平和記念資料館」

2019年4月、広島平和記念資料館で1955年の開館以来3度目となる展示リニューアルが行われた。「実物資料で表現すること」などを展示方針に掲げたこのリニューアルでは何が変わり、何をもたらしたのか? もうひとつの資料館である長崎原爆資料館における加害展示論争とともに論じ、彫刻家・彫刻史家の小田原のどかが、いまだ見ぬ「国立の戦争博物館」における展示の未来について問う。

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この夏、訪れたい美術館。キスリング展を開催中の岡崎市美術博物館を紹介

20世紀前半、パリに集まった芸術家たちのなかでも、ひときわ自身の作風を極め、成功を収めた画家・キスリング。日本では12年ぶりとなる回顧展「キスリングーエコール・ド・パリの煌き」が、徳川家康生誕の地・愛知県岡崎市の岡崎市美術博物館に巡回中だ。会期は7月27日〜9月16日。

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SNS時代の美術館マーケティングはどうあるべきか? 森美術館広報・洞田貫晋一朗に聞く

2019年6月、興味深い書籍が刊行された。『シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略』(翔泳社)は、SNS全盛の現代における美術館のデジタルマーケティング戦略を説くものだ。同書を執筆した森美術館広報・プロモーション担当の洞田貫晋一朗に、本書執筆の背景や、これからの美術館SNS戦略のあるべき姿について話を聞いた。

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【武蔵野美術大学×高校生①】世界で活躍するアーティストと対話! 諏訪敦の特別授業レポート

美術・デザインに興味を持つ高校生に、美大とアートシーンやデザインの現場について様々な角度から知ってもらうため、武蔵野美術大学と『美術手帖』の共同企画が始動。第1弾として造形学部油絵学科教授でアーティストとして活躍する諏訪敦が、美術系大学進学者も多い都立大泉桜高等学校を訪問し、生徒との対談と講評会を行った。

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ピカソとの日々の回想録から前衛芸術家集団「スペース・プラン」まで。8月号新着ブックリスト(2)

新着のアート&カルチャー本の中から毎月、注目の図録やエッセイ、写真集など、様々な書籍を取り上げる、雑誌『美術手帖』の「BOOK」コーナー。ピカソと生活をともにしたフランソワーズ・ジローの回想録や、鳥取に存在した前衛芸術家集団「スペース・プラン」の記録集など、注目の新刊を3冊ずつ2回にわたり紹介する。

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