
原爆落下中心地に立ち上がる被爆者の「声」。松久保修平評 竹田信平 「声紋源場」プロジェクト
メキシコ・ティファナとデュッセルドルフを拠点に、長く核の問題をテーマとして活動してきたアーティスト竹田信平が、今夏長崎にて被爆者の「声」を使ったプロジェクト「声紋源場」の公開制作とパフォーマンスを行った。プロジェクトの過程を見てきた長崎県美術館学芸員の松久保修平がレビューする。

メキシコ・ティファナとデュッセルドルフを拠点に、長く核の問題をテーマとして活動してきたアーティスト竹田信平が、今夏長崎にて被爆者の「声」を使ったプロジェクト「声紋源場」の公開制作とパフォーマンスを行った。プロジェクトの過程を見てきた長崎県美術館学芸員の松久保修平がレビューする。

風景や自然物をモチーフに、生命の循環をとらえてきた写真家・川内倫子。新作『as it is』は、自身の出産から約3年間におよび、子供の成長していく姿や身近な風景を写した写真集だ。本書の出版を記念した個展について、環境人文学を専門とする哲学者・篠原雅武が論じる。

明治から平成にかけての版画の名作約300点により、日本の近現代を振り返る展覧会が福島県立美術館にて開催された。これまで日本の美術の歴史を語るうえであまり光が当てられることのなかった「版画」を文脈として、地方から見えるもうひとつの近現代日本美術史を編み直す。版画表現の歴史を振り返りながら、キュレーターの小金沢智が本展をレビューする。

イタリア・ミラノを拠点に活動する廣瀬智央の個展がアーツ前橋にて開催された。1997年に発表した、約3万個のレモンを用いる《レモンプロジェクト 03》のほか、イタリア渡航以後に発表した初期作品や国内未発表作品、そして新作を含めた約100点でこれまでの廣瀬の活動を展覧。本展を、アーティストのAKI INOMATAがレビューする。

建築、デザイン、写真など様々な分野を横断する造形学校としてドイツに誕生し、その後ナチスの迫害を受けてわずか14年で閉校したバウハウス。その創設100年を記念して、2019年から全国で「バウハウス100年映画祭」が開催されている。ラースロー・モホイ=ナジの生涯を追った上映作品『ニュー・バウハウス』を中心に、バウハウスにおける芸術教育のあり方から見えるものを画家・永瀬恭一が論じる。

現実世界を舞台に見立て、空虚に感じるその理由に迫ろうとした「Big Brother is Watching you」で「1_WALL」のグランプリを獲得したRyu Ika(劉怡嘉)の受賞展がガーディアン・ガーデンにて開催された。内モンゴルで生まれ育ったRyuの作品世界で表される、イメージのなかで生きる私たちについて、キュレーターの飯岡陸がレビューする。

コロナ禍で様々な分野のオンラインコンテンツが配信されている。評論家としても注目を集めるアーティストの大岩雄典は、展覧会「Emergency Call」をキュレーション。それは指定の番号に電話をかけることで美術家、音楽家、博士、SF作家、俳人、歌人など17組による音声を自動再生で聴く、40分05秒の「電話展示」であった。日本国内の緊急事態宣言解除まで続いたこの試みを、埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

2019年に7年ぶりとなる個展「セルヴェ」をパープルームギャラリーにて開催し、デジタル移行前のアニメのセル画にヒントを得た手法を用いた作品を発表したqp。1年後の開催となった本展では、約4ヶ月という短期間で集中的に制作された作品を発表した。SNSでの発信もマイペースに行うなかで、リアルな展示から浮かび上がるものは何か。美術批評家の中島水緒がレビューする。

「AFTERGLOW-光の破片をつかまえる」をタイトルに掲げたヨコハマトリエンナーレ2020。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、世界でもいちはやく開幕に踏み切った国際展は何を伝えるのか。キュレーターの飯岡陸がレビューする。

金沢21世紀美術館で開催された内藤礼の個展は、大小様々な展示室や光庭、通路といった空間と呼応するように構成された。コロナ禍のただなかに開催された本展における作家の変化について、ドキュメンタリー映画『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』(2015)を監督した中村佑子が論じる。

1985年に大阪人権歴史資料館として開館し、被差別部落問題、在日コリアン、ウチナーンチュ、アイヌ、公害被害者、ハンセン病患者、薬害被害者、LGBTQ、いじめなど様々な人権問題を紹介してきた大阪人権博物館(リバティおおさか)。同館は、2015年の大阪市による提訴と今年3月の和解を受け、5月31日に閉館した。35年の節目として、そして現施設での最後の展覧会として行われた「35年展」を、大阪中之島美術館準備室学芸員の大下裕司がレビューする。

民藝運動、ゴッホ論、精神病理学入門、性教育など、広範にわたる分野で活動し健筆をふるった精神科医・式場隆三郎。彼の多分野にわたる啓蒙の軌跡を、約200点の作品と資料でたどる展覧会が広島市現代美術館で開催された。式場が横断した境界線、またその活動の内奥を、愛知県美術館・学芸員の中村史子が考察する。

チェロや電気、適当な録音を使用した演奏と演出を行う中川裕貴。ロームシアター京都で上演された『アウト、セーフ、フレーム』は、チェロという楽器の中に潜む「声」を様々な演奏手法で引き出した作曲作品だ。本作を、キュレーターの檜山真有がレビューする。

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、8月に公開された全8本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

京都・KUNST ARZTで、同ギャラリー代表でアーティストの岡本光博が企画する「天覧美術 御所編」展が開催。岡本のほか、木村了子、小泉明郎、鴫剛、藤井健仁が参加した。天皇制をめぐるタブーを中心に、政治や表現の自由などのテーマを扱った作品で構成された本展を、清水穣がレビューする。

LEESAYA(東京・下目黒)にて、髙橋銑、二藤建人、宮原嵩広によるグループ展「In a Grove」が開催。先が見えない状況のなかで、作品を通して世界を実感し、正確にとらえることを試みる本展を、文化研究者の山本浩貴がレビューする。

コロナ禍で増加したオンラインの展覧会や上映。卯城竜太らは鑑賞者を限定したフィジカル展とオンライン展からなる「ダークアンデパンダン」を、布施琳太郎は、ひとりずつしかアクセスできないウェブサイトを会場とした「隔離式濃厚接触室」を、大岩雄典は、真っ白なウェブページのなかで作品を探索するオンライン展示「遭難 Getting Lost」をそれぞれ開催した。現代の遠隔通信が持つ空虚や滑稽さと、それらを批評的に扱った3展について、椹木野衣がレビューする。

埼玉県立近代美術館で、現代日本のアーティストによる新たな写真・映像表現に焦点を当てた「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」展が開催中だ。「物質性」というテーマと背後にあるジェンダー意識について、写真研究者のダニエル・アビーが論じる。

渡辺志桜里と渡邊慎二郎、2人のアーティストの作品が入れ子状に展開され、人間や動植物といったあらゆる存在のつながりや関係へと思考を促す「Dyadic Stem」展。新たな世界のヴィジョンを模索する本展について、アーティスト/キュレーターの黒沢聖覇が論じる。

個別にアーティストとして活動しながら、共同制作を行ってきた青木陵子+伊藤存。この二人による展覧会「変化する自由分子のWORKSHOP」が、東京・神宮前のワタリウム美術館で開催された。2017年と2019年に参加したリボーン・アートフェスティバルでの滞在制作を経た二人が展開する「ワークショップ」を、小説家の福永信がレビューする。