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織物を解きほぐすことは、世界と向き合う新たなアプローチとなるか。中尾英恵評「世界の絣」展

世界各地で行われてきた染織技法の一つである「絣」。素朴な幾何学文様から複雑で精緻な絵画文様まで、「絣」の様々な表現に着目した展覧会が開催された。染織技法から見えてくる世界各地の地域の特色と現在、そして織物が内包するものについて、小山市立車屋美術館学芸員の中尾英恵がレビューする。

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妊夫たちが映し出す、未来の性のあり方とは? 内海潤也評「岡田裕子 ダブル・フューチャー」展

女性や夫婦、家族をめぐるジェンダー的問題や社会的なまなざしの歪みを、批判的かつユーモラスに作品へと昇華させてきた作家岡田裕子。この夏ミヅマアートギャラリーで開催された個展では、今年2月に恵比寿映像祭で話題となった《エンゲージド・ボディ》と、15年以上前に制作された「妊娠した男性像」を描いた作品を対比的に見せた。本展から浮かび上がるメッセージをキュレーターの内海潤也が読み解く。

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空間を読み替える映像とともに、美術館という場を更新する試み。畑井恵 評「志村信裕 残照」展

千葉県立美術館にて、同県ゆかりの現代美術作家を紹介する展覧会シリーズの第1弾となる「志村信裕 残照」展が開催中だ。映像インスタレーションなどを手掛けてきた新進アーティストの活動を、美術館の構造を生かして章立てし紹介した本展について、千葉市美術館学芸員の畑井恵がレビューする。

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反復する空間とその奥行き、あるいは思索の世界。飯岡陸評 木村友紀「Reception」展

写真や映像、立体などを用いて、空間や時間、次元をテーマにしたインスタレーション形式の作品を発表してきた木村友紀。日本では4年ぶりとなる個展「Reception」では、時間や物質、イメージについての思索を展示空間へとひろげた。本展の新作インスタレーションを、キュレーターの飯岡陸が読み解く。

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2019年の愛知はいつか、どのように振り返られるだろうか? 鈴木俊晴評「アイチアートクロニクル1919-2019」

今年4月から6月にかけて、愛知県美術館にて開催された「アイチアートクロニクル1919-2019」展。現在開かれている「あいちトリエンナーレ」に先駆けて実施された同展は、同美術館のリニューアル・オープン記念として、愛知のアートの過去100年間を、愛知県美術館、名古屋市美術館、豊田市美術館をはじめとする地域のコレクションを通じて紹介するもの。豊田市美術館学芸員の鈴木俊晴が、美術館の役割と地域美術史について論じる。

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いま向き合うべきは歴史か、身体か。布施琳太郎評 「しなやかな闘い ポーランド女性作家と映像 1970年代から現在へ」

数多くの男性によって語られてきた20世紀のポーランド美術。しかし21世紀のポーランドでは、とくに映像表現の領域で女性作家が存在感を放っている。現在、東京都写真美術館で開催中の展覧会「しなやかな闘い ポーランド女性作家と映像 1970年代から現在へ」では、70年代以降先駆者とされた女性作家の表現にフォーカス。ベルリンの壁崩壊やEU加盟といった時代背景のもとで展開された様々な実践をたどることができる。「第16回芸術評論募集」で佳作を受賞した布施琳太郎は、本展に展示された作品について「あいちトリエンナーレ」騒動や歴史修正主義的な政治に揺れる今日の日本にも有用性を発揮すると考える。

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芸術と不動産と展覧会。きりとりめでる評「齋藤恵汰&堀崎剛志『構造と表面』〜ラテックスと不動産」

都市空間におけるランドアート作品として《渋家》を展開する齋藤恵汰と、コミュニティの中で生まれるアートを地域住民とともにプロジェクトとして実践してきた堀崎剛志による二人展「齋藤恵汰&堀崎剛志『構造と表面』〜ラテックスと不動産」が、東京の駒込倉庫で行われた。本展を批評家のきりとりめでるがレビューする。

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現実とシミュレーションのあわい。中尾拓哉評 相川勝「Sandy Shores」展

「複製芸術」や「著作権/違法コピ ー」をテーマに、ロックやメタルなどのCDアルバムを肉筆とアカペラにより完全コピーする「CDs」シリーズで知られる相川勝。本展では、ゲーム上の風景やAIが生成した人物といった被写体を、プロジェクターやタブレット端末から発せられる光によって印画した写真作品を発表。現実とシミュレーションのあいだにある「時間」を宿した作品群を、美術評論家の中尾拓哉が読み解く。

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VR作品は鑑賞者の身体をどこへ連れ去るのか? 大岩雄典評 小泉明郎個展「Dreamscapegoatfuck」

ドキュメンタリーと演劇的な要素を組み合わせた映像や、鑑賞者の心身に揺さぶりを掛けるような作品をてがける小泉明郎。無人島プロダクションで開催中の個展にて、ヴァーチャル・リアリティ(VR)用ヘッドセットを装着して体験する作品《Sacrifice》が日本初公開されている。同作品に内在する身体を徴集する力について、アーティストの大岩雄典が論じる。

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アニメーションでなければできなかったこと。藤田直哉評「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」展

2018年4月に惜しまれつつこの世を去った、高畑勲の没後初となる回顧展「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」。「絵を描かない」監督として知られる高畑の半世紀におよぶ仕事を紹介する本展から見える「思想」とはどのようなものなのか? 文芸評論家・藤田直哉が解き明かす。

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日本とアメリカのはざまで。中村史子評「山沢栄子 私の現代」展

日本とアメリカを行き来し、1930年代から半世紀以上にわたって日本における女性写真家の草分けとして活躍した山沢栄子。生誕120年を記念した回顧展「山沢栄子 私の現代」が、西宮市大谷記念美術館で開催された。これまで十分な調査、研究が行われてこなかった山沢作品をアメリカ写真史に接続することで読み解こうとする本展を、愛知県美術館学芸員の中村史子が考察する。

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新たな公共性へと思考を促す「エコ・クィア」なビジョン。はがみちこ評 鄭波(ジェン・ボー)「Dao is in Weeds」展

中国のソーシャリー・エンゲージド・アートの文脈で注目を集める鄭波(ジェン・ボー)の個展が、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)にて開催された。京都市立芸術大学が2023年に移転を予定している崇仁地域のリサーチや、ワークショップをもとにしたインスタレーションを発表した本展について、はがみちこがレビューする。

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誰もが何かのマイノリティ。工藤香澄評「彼女たちは叫ぶ、ささやく─ヴァルネラブルな集合体が世界を変える」展

アーティストの一条美由紀、イトー・ターリ、碓井ゆい、岸かおる、ひらいゆう、松下誠子 、綿引展子、カリン・ピサリコヴァ、キュレーターの小勝禮子からなる「エゴイメ・コレクティヴ」は、ジェンダーやセクシュアリティ、民族間の格差が拡大する社会を、芸術を介して少しずつ変えることを目的に結成。コレクティブとして初の展覧会となった「彼女たちは叫ぶ、ささやく-ヴァルネラブルな集合体が世界を変える」を横須賀美術館学芸主査の工藤香澄がレビューする。

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古墳の町で表出される豊かな共感覚。荒木夏実評 山城大督「パラレル・トラベル」展

宮崎県の高鍋町で、山城大督による展覧会「パラレル・トラベル」が開催中だ。映像と空間における新しい表現を探求してきた山城は、古墳が点在する高鍋町の風景と、そこで過ごした経験や時間にインスピレーションを受け、上演型の新作インスタレーションなどを発表。音楽家の角銅真実をゲストパフォーマーに迎えるなど、様々な試みによって鑑賞者の五感を刺激する本展について、荒木夏実がレビューする。

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第五福竜丸展示館における「展示」のあり方とは。長谷川新評 「なぜ?ベン・シャーンが見た福竜丸-13点のデッサンと漁師たち」展

遠洋マグロ漁船がアメリカ軍による水爆実験で被ばくした「第五福竜丸事件」の資料を保存する第五福竜丸展示館(東京)にて、事件に関するルポルタージュの挿絵などを手がけたアメリカの画家・ベン・シャーンの原画展が開催されている。展覧会を含む館での展示について、インディペンデント・キュレーターの長谷川新がレビューする。

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近代絵画に描かれた夕景をたどる。副田一穂評「黄昏の絵画たち」展

黄昏時にうつろう独特の光。17世紀に成立した「風景画」をはじめ、東西の絵画に古来から描かれてきた夕暮れ時の風景の世界をひもとく展覧会「黄昏の絵画たち 近代絵画に描かれた夕日・夕景」が、山梨県立美術館で開催中だ。19世紀から20世紀にかけての西洋と日本の絵画と版画約160点から「黄昏の絵画」をたどる本展を、愛知県美術館学芸員の副田一穂がレビューする。

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都市計画がはらむ「とん挫性」を告発する。井上幸治評「東京計画2019 vol.2 風間サチコ バベル」展

オリンピック開催を来年に控え、画一化・均質化を目指し解体と開発が日々進行される東京。藪前知子がキュレーターを務めるプロジェクト「東京計画2019」では、5組のアーティストがそうした都市のあり方に対する諸問題に言及しつつ、別の可能性の提示を試みる。第2回となる本展は風間サチコ。第15回芸術評論において「風間サチコ論」で入選した井上幸治が、本展のねらいを読みとく。

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